人間が夜光虫に思えた夜

人間が夜光虫に思えた夜

春の夜を彩る幾千万の窓明かり その何倍もの人々の思いを閉じ込めて 燃え上がる愛と深い憎悪 暖かな団らんと凍てつく寂しさ このイルミネーションには 様々な生活があって 幾多の事情があって 夜の海で腐乱した魚に喰らいつく夜光虫の様に その一つづつが長い時をかけて 地球を浸食している 我もその一つ 春らしく緩んだ夜風の中 ぼやっと想う 宇宙の永き時間軸の中では 星…