第四十八話(15)

第四十八話(15)

その声が耳に入るやいなや、一同は身を構える。声の主は、ゆっくりと歩み寄りながら、姿を現した。「…その声…まさか。」会長が呟く。エリート達が注視する人物は、身構えるわけでもなく悠々と近づいてくる。「君が、会長君か。…そう、先刻、君と熱い勝負を交わしたのは、僕、αだ。」その風貌は、会長が語っていたように、スラリとした痩せ型の青年だった。強敵とも言える刺客たちと一戦を交えてきた彼らは、刺客のボスとは思えない…そんな印象を抱いた。しかし、彼らは誰一人緊張を解こうとはしなかった。その悠然とした態度が、腕に覚えありの中国や副会長たちを逆に足止めしていた。「…そう構えないでもらいたいね…と言っても無理か。それにしても、僕みたいな弱そうな風貌の男に対し、そこまで構えるとは、君たち『普通の高校生』がこのビルでの異様な状況に順応し...第四十八話(15)