昔話 大きし小学1年生と小さな2年生 64.
3人は、ホタルブクロの野原に駆け込んで、虹を眺めました。虹の一方の端は遠くの山の後ろに隠れ、もう一方の端は、空に消えていました。虹を見ている3人の足元には、白いのや、青紫のや、赤みがかかったのなど、ホタルブクロの花がいっぱいでした。まさやが、前に来た時より、花の数は、ずっと増えていました。どの花も、雨に濡れて、前よりもっと鮮やかな色をして、重たそうに首を垂れていました。虹を見ているうち、あきよは、ふっと2年生になった日、前の晩とその日の朝に、背をはかったことを思い出して、おかしくなりました。どうして、あんなことをしたのかしら。まるで、幼稚園の子供みたいに。たったふた月ばかり前のことですが、遠い昔のことのような感じでした。「なに、笑ってるの?」と、まさやが聞きました。「ううん、なんでもないの」 あきよは、そう答えて、野原を走り出しました。まさやも、まり子も走り...
2015/09/14 10:02