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2011/06/23

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  • 昔話 大きし小学1年生と小さな2年生 64.

    3人は、ホタルブクロの野原に駆け込んで、虹を眺めました。虹の一方の端は遠くの山の後ろに隠れ、もう一方の端は、空に消えていました。虹を見ている3人の足元には、白いのや、青紫のや、赤みがかかったのなど、ホタルブクロの花がいっぱいでした。まさやが、前に来た時より、花の数は、ずっと増えていました。どの花も、雨に濡れて、前よりもっと鮮やかな色をして、重たそうに首を垂れていました。虹を見ているうち、あきよは、ふっと2年生になった日、前の晩とその日の朝に、背をはかったことを思い出して、おかしくなりました。どうして、あんなことをしたのかしら。まるで、幼稚園の子供みたいに。たったふた月ばかり前のことですが、遠い昔のことのような感じでした。「なに、笑ってるの?」と、まさやが聞きました。「ううん、なんでもないの」 あきよは、そう答えて、野原を走り出しました。まさやも、まり子も走り...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 63.

    逃げていく3人の3年生を見て、まさやは、まだ振り回していた腕を、やっと、だらんと下におろしました。そして、ワァーと、泣き出しました。嬉しいのやら、悲しいのやら、自分にもわかりません。でも、泣いているうち、少し、分かってきました。 僕は、強くなったんだ。まさやは、泣きやめて、びっくりしているあきよとまり子の方を向くと、恥ずかしそうに笑いました。その次の日曜日、まさやと、あきよと、まり子は、自転車に乗って、一本杉へでかけました。お弁当も、水筒も、持っています。お菓子もあるし、バナナもありました。3台の子供自転車は、ぐんぐん走りました。走りながら、まさやは、嬉しそうに言いました。「前、まりちゃんは、二度目の道も面白い、と言ったよね」自転車で通る、この二度目の道は、今度はどの道も、まさやたちを歓迎している感じでした。ところが、前、まさやがパンを買った住宅のあたりに来た頃...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 62.

    まさやは、自分の手をぎゅっと握りました。ぶるぶる、足が震えてくるのがわかります。男の子たちに取り囲まれたあきよは、とても小さく見えます。そのあきよは、真っ赤になって、叫びました。「悪いのは、あんたたちよ!」 びしゃりと音がして、あきよの頬がたたかれ、まり子が、男の子の腕にぶらさがって、「やめて!喧嘩はやめて!」と、叫び、そのまり子も、つっころがされました。そのときです。まさやが「うおう!」という、変な唸り声をあげて、3人の男の子たちの間に飛び込みました。「あきよちゃbbうぃ、あきよちゃんを、まりちゃんをいじめたな!」 まさやは、夢中になって、後ろから殴られながら、一人を押し倒すと、あきよの頬を叩いた子の胸のところをつかんで、ぐいと、前にひっぱりました。その子の服のボタンがちぎれて飛びました。「こいつめ!1年生のくせに!」その子は叫び、ほかの二人の男の子は、「このやろう...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 61.

    ある日、まさやとあきよとまり子は、まさやの自転車練習の後、団地の公園でブランコにのりました。そこへ、男の子が3人、やはり自転車でやってきました。以前、ホタルブクロをひき潰した3人組でした。「おい、おりろよ。おれたちがのるんだから」と、一人が言いました。まさやは、 あきよがどう答えるか、と思いました。あきよより先に、まり子がいいました。「じゃ、百数えたら、代わってね」 あきよもブランコを下りたので、まさやも下りました。あきよは、数え始めました。「一、二、三・・・・」「…・九十七、九十八、九十九、百」だが、3人とも下りません。いままでより、もっともっと高く、ブランコをあげていきました。「百よ。百と言ったでしょ」と、あきよが叫びました。3人とも、やはりおりません。あきよは、自分の近くにきたブランコの綱をつかんでいいました。「おりてよ!」「あぶないじゃないか!」そのブランコ...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 60.

    坂を下りて、振り返ってみると、巨人の角のように見えていた松の木も、かわいい感じのちっぽけな松の木でした。学校から帰ってきたあきよが、まさやの家に遊びに行くと、まさやは、いいました。「あの道ね、ぼく、もう、一人で平気だよ。でも、やっぱり、あきよちゃんと一緒にいくんだ」こうして、大きい1年生の男の子と、小さい2年生の女の子は、やはり、毎朝、手をつないで、坂道をのぼっていきました。ただ、帰りはいままでと、ちょっと違ってきました。まさやは、一人で、帰るようになったのです。でも、2年生と同じ時間に終わる日は、今まで通り、二人一緒でした。まさやは、自転車の練習もやり始めました。あきよが、言ったのです。「まさやくんが、自転車に乗れるようになったら、まりちゃんと3人で、あのホタルブクロの野原へ行こう。あそこ、来年になると、住宅公団の建物が出来るんだって。まさやくんが、橋にした看...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 59.

    次の日、まさやは、学校へ行く坂道の途中で、あきよに言いました。「ぼくね、 きょう、一人で帰るよ」「平気、」「平気だとも」 まさやは、張り切って言いました。4時間目、あきよが窓の外を見ると、1年生が帰っていきます。まさやが、みどりと、あきよの知らない男の子と3人で、校門の方へ歩いていくのが見えました。ふうん。みどりちゃんたちと、遊ぶようになったんだわ。あきよは、嬉しくなりました。でも、ちょっと心配でした。みどりちゃんたちとは、校門で別れるんだから、そのあと、まさやくん、本当に一人であの坂道を帰れるのかしら。昨日、一本杉の森まで行ったぐらいですから、大丈夫だとは思うのですが、気がかりでした。でも、校門でみとりたちと別れたまさやは、本当に平気で、一人で坂道を、歩いていきました。なんで、こんなところが、怖かったんだろう。まさやは、不思議でした。ものすごく暗い道だと思って...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 58.

    4人は、看板の橋を渡って、また、雑木林の中に入りました。湧水のところで、まさやのお母さんは、ハンカチを水に濡らして、まさやの顔や手や足をふきました。拝殿の裏へ出る小道で、まさやは、あきよと手をつなぎました。雑木の幹にぶつかりそうになりながら、あきよは言いました。「でも、まさやくん、よく一人でこられたわねえ」 すると、まさやは言いました。 「あきよちゃんがいなけりゃ、こられなかった」あきよは、びっくりしました。「どうして?」 「どうしてって」まさやは、はずかしそうに、笑いました。ぽっと赤くなったまさやの顔を見て、あきよは、なんとなく、わけがわかりました。あきよの作ったレイを首にかけて、一生懸命暗い森の中を行く、まさやの姿が目に浮かびました。すると、奇妙なことに、今まで、自分の小さいのを、嫌がっていた気持ちが、あきよの体の中から、すうっと引いていくのが、わかりました。...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 57.

    看板を渡って右へ、3番目の道の真ん中に、ホタルブクロの花が、10メートルおきぐらいに置いてあるのに、あきよは気が付いたのです。あきよは、その道を走りました。大分いったところに、ネムの木が2,3本、固まってはえていました。そのネムの木の下に、あきよは飛び込みました。「まさやくうん!」 両手にいっぱい、ホタルブクロの花を持ち、周りにもホタルブクロの花をまき散らしたまま、まさやがそこに寝ていたのです。顔も、服も、泥だらけでした。「まさやくうん」 揺すぶられて、まさやは、目をあけ、あきよの顔を見て、にこっとしました。「まさやくん。怖かったのでしょ。」あきよは、この泥だけの子が、とても可哀想で、涙がでそうなほどでした。そして、学校の坂道を行くときのように、まさやは、わっと泣いて、あきよの手にしがみついてくる、思いました。ところが、まさやは、泣きもせず、しがみつきもしないで、言...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 56.

    誘拐されたのではないにしても、まさやは、昼ご飯をたべていません。さぞ、お腹がすいただろう、と思うとお母さんは、まさやが可哀想で、ついつい涙が出てきそうになるのでした。だから、あきよも、まさやのお母さんも、まり子が湧水の側のレイの花を見つけて、「まさやくんは、あそこで遊んでいったのね」と、言った時には、ほっとした気持ちになりました。レイの花を追いかけ、追いかけ、二台の子供自転車と一台の大人自転車は、一本杉の森に入りました。森の中の暗い道で、大きい木を見た時、あきよはまた、まさやがこの道を、どんな気持ちで通ったのだろうかと、思って可哀想になりました。拝殿の前のお賽銭箱に、レイの花がのっているのを見て、まさやのお母さんは言いました。「きっと、この近くにいるわね」3人は、拝殿の回りをぐるりと回って、裏の雑木林の入口のレイの花を、見つけました。3人は、雑木林に入り、湧水のとこ...

  • 昔話 大きい小学1年生と小さな2年生 55.

    3人は、自動車道路を超えて、麦畑の中の道に入りました。その道が二つに分かれたところで、先頭のあきよが止まり、困ったような声を出しました。「どっちだろう?」 まり子が右の方の道を指して言いました。「こっちだとおもうわ」「どうして?」まり子は右の道の土手の上から、レイの花をつまみあげました。「これがあるから。お留守の神様の橋の上にもあったし、自動車道路の横断歩道にもあったわ」「みせて」あきよは、その花を手に取りました。そして、叫びました。「わたしがまさやくんにあげたレイの花だわ。間違いないわ。私の名前が、花の裏に書いてある」まさやのお母さんは、まり子に来てもらって、ほんとうによかった、と思いました。あきよと二人だけだったら、このレイの花を見落としてしまったことでしょう。「ありがとう。まりちゃん。あきよちゃん。行きましょう」レイの花は、次々と見つかりました。この道をまさや...

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