小説『魔界の饗宴』 その82
クリック注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。東京、霞ヶ関合同庁舎別館、内閣府「ADCT」事務局、職員ロビー富山利三は戦略室を出てから、自分のオフィスの机に戻り、私物を鞄に手早く詰め込んでから、後ろの窓の外、桜田通りの街路樹に目をやった。気持ちの整理をつけるように暫くじっと行き交う車の列に目を見やる。知らぬ間に、ふたりの男がオフィスに入ってきた。パリッとしたスーツ。風呂上りのように艶々した小太りの男。見るからに官吏。政治家。その後ろに田所警視監。多少気の毒そうに富山の背を見ている。「富山警視正」耳慣れぬその声に、富山はゆっくりと振り返った。―私は内閣総務次官補の内海だ。今から私が指揮を執る。これか...小説『魔界の饗宴』その82
2011/01/26 08:03