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リョウ ケン
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2010/08/29

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  • 小説『魔界の饗宴』 その82

    クリック注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。東京、霞ヶ関合同庁舎別館、内閣府「ADCT」事務局、職員ロビー富山利三は戦略室を出てから、自分のオフィスの机に戻り、私物を鞄に手早く詰め込んでから、後ろの窓の外、桜田通りの街路樹に目をやった。気持ちの整理をつけるように暫くじっと行き交う車の列に目を見やる。知らぬ間に、ふたりの男がオフィスに入ってきた。パリッとしたスーツ。風呂上りのように艶々した小太りの男。見るからに官吏。政治家。その後ろに田所警視監。多少気の毒そうに富山の背を見ている。「富山警視正」耳慣れぬその声に、富山はゆっくりと振り返った。―私は内閣総務次官補の内海だ。今から私が指揮を執る。これか...小説『魔界の饗宴』その82

  • 小説『魔界の饗宴』 その81

    クリック面白い、と思った方のクリック待ってます。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。東京、霞ヶ関合同庁舎別館、内閣府「ADCT」事務局会議室のスクリーンも真っ赤に炎上していた。誰もが呆然と事の成り行きを見ている。小林捜査官が厳しい表情で顔を紅潮させ、スクリーンに吸い寄せられるように、二、三歩踏み出した。しかし画面は、突然大きくずれて、それ以降、コンクリートの地面を映し出したまま動かなくなった。カメラを携帯していた警官がそれを落としたか、或いは、彼自身が事故に巻き込まれたか―。「くそ!」小林は、自分の額を大きな右手で握って舌打する。画面は動かなくなった。スクリーンは今、ひび割れたレンズの亀裂の向こ...小説『魔界の饗宴』その81

  • 小説『魔界の饗宴』 その80

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。クアラルンプール、ブキットビントン検問所李磊は潜んでいた。ブキットビントン駅検問を越えた先の道端。目立たぬところに駐車しているBMW。李磊は、助手席に腕組みし、ルームミラーで百メートル以上後方の騒ぎを、目を細めてじっと見ていた。「どうする?」タテヤが正面を向いたまま無表情に声を掛ける。「まぁ、待て。様子を見る」後方で車同士がクラッシュするけたたましい音が響く。砂塵が舞い上がっている。李磊はタテヤを見てニヤリ、と笑う。そしてスーツの胸ポケットから、トカレフを取り出し、弾倉を一度引き抜いてまた差込み、安全装置を外して...小説『魔界の饗宴』その80

  • 小説『魔界の饗宴』登場人物

    登場人物扇天真日本名、扇谷真二郎在日朝鮮人、元北朝鮮人民軍工作員サラインドネシア人、扇天真の内縁の妻バンブーサラと扇天真の長女、実の父はインドネシア人ネリーサラと扇天真の二女、実の父はオランダ人マリアサラと扇天真の三女、実の父は扇天真チャーリー・タンマレーシア人、書類偽造屋、かつて扇天真の仕事を請け負っていた李磊麻薬シンジケートを調整する謎の人物周書福香港マフィア「臥龍」の会長、香港黒社会最大組織「五和会」の総帥周恭周書福の弟、新宿「九龍商会」を任されている劉正源「臥龍」のナンバーツーイザベラ・アスペフィリピン人、シンジケートのマネー洗浄役、表向はエステ経営者ビアンコ・アギレラフィリピン、マカテイ地区を牛耳るマフィアのボスチャイヤポン・ソムランタイ、チョンブリ地方を牛耳るマフィアのボスタチヤ・ラクサラップタイ、...小説『魔界の饗宴』登場人物

  • 小説『魔界の饗宴』 その79

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。マレイシア、クアラルンプール、ブキットビントン駅検問所けたたましい衝撃音とともに、検問の鉄柵が宙を舞った。検問の警官たちが悲鳴を上げて散る。猛スピードで突っ込んだプロトンのセダンは、そのまま正面のパトカーの横腹を直撃。運転する扇谷の目の前にエアバッグが飛び出した。前が見えない。銃を抜いた警官たちが発砲の構えでステイする。扇谷慎二郎は歯を喰いしばりながら、ギアをバックに入れ、後ろを確認もせずまたアクセルを蹴った。プロトンが、ギイイイ、と金属的な音をたててタイヤを軋ませる。後ろのパトカーに激突する。扇谷慎二郎の首がガ...小説『魔界の饗宴』その79

  • 小説『魔界の饗宴』 その78

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。東京、霞ヶ関合同庁舎別館、内閣府「ADCT」事務局富山利三が去った戦略室にその感傷に浸る余裕はなかった。クアラルンプール市警と交信していた捜査官が、壁の液晶スクリーンをクアラルンプール市内の検問に設置されたCCTVから衛星を通して送られた画像に切り替える。検問の画像は点滅するように、十秒単位で違う風景に切り替わり、それが繰り返される。皆、その画面に視線を走らせた。小林捜査官が言う。「あれを、アップに」全員が各自のPC画面から顔を上げ、スクリーンを見た。車が検問に突っ込もうとしている。おお、とどよめきが戦略室に広が...小説『魔界の饗宴』その78

  • 小説『魔界の饗宴』 その77

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。マレイシア、クアラルンプール市内アブドラの車には無線が備えてあった。俺はきっと手配されている。一刻もはやく非常線の外に抜け出す必要がある。無線のスイッチを入れる。ガーガー、ピーピーと雑音が唸る。ツマミを回して周波数を調整する。古い型の無線装置。―・・・は、変化ありません、・・・、ムルデカスタジアム、異常なし、・・・、ガーガー、スルタン・ヒシャムテイン、はい、異常なし・・・。アブドラ・メルサ刑事がモノレール高架横の幹線道路添いで殺されたこともいずれ知れるだろう。扇谷は無線をそのままに、少しスピードを緩めながら、アブ...小説『魔界の饗宴』その77

  • 小説『魔界の饗宴』 その76

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。(今回は暴力シーン含みます)マレイシア、クアラルンプール市内KL(クアラルンプール)市警のアブドラ・メルサ刑事は、百メートルほど前方に覚束ない足取りであるく男の姿を発見した。ジーンズとカーキ色のシャツ。アブドラは慎重にスピードを落とす。モノレールの高架脇の市内幹線道路。クアラルンプールの中心部とはいえ、相変らず行き交う車は疎らだ。白昼でも閑散とした風景。静かにプロトンが男の後ろに滑り寄る。髪型は短い整髪、色は黒。中肉中背。身長一七〇センチ。ターゲットである可能性が高まる。アブドラは大きく息を吐き、ダッシュボードか...小説『魔界の饗宴』その76

  • 小説『魔界の饗宴』 その75

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。マレイシア、ボルネオ島、サラワク州、クチンイザベラ・アスペは手掛かりのないまま、また昨日と同じように川端のベンチで風に当たっている。―ほんとうにこんな田舎に女がいるのか?掌の携帯を見詰める。私も暇じゃないのよ。李にそう言いいたい。早く始末して、自分は香港に帰りたい。サラは三人の幼い娘を連れ、こちらもまたいつもと同じように、川端の公園に向かって歩いていた。いつもと変わらぬ娘たちの、無邪気で明るい嬌声。シンのいない時間。クチンは今日も快晴。太陽が青天に輝いて、今日も同じように、サラは陽の光を浴びている。東京、霞ヶ関合...小説『魔界の饗宴』その75

  • 小説『魔界の饗宴』 その74

    クリック面白い、と思ったらクリックしてください。注意)一部暴力的、性的表現が含まれますからご注意ください。本作はすべて架空であり、国名、団体名、個人名はすべてフィクションです。著作権は作者に帰属します。マレーシア、クアラルンプール郊外の国道李磊と、チョンブリ警察署のタテヤ・ラクサラップ警察官は、未明にパタンデザールの国境を越え、マレイ半島をBMWで吹っ飛ばし、クアラルンプール市内へ着いたところだった。三十分前に、ボルネオ・クチンへ《扇谷の情婦》を捜しに行ったイザベラ・アスペから連絡が入ったが、未だ何の手掛りもない、という内容だった。―急げ、イザベラ。李磊はイザベラにそう言って電話を切った。その更に十五分後に、ソムラン・チャイヤポンから隣でハンドルを握っているタテヤ・ラクサラックに連絡が入った。《ユニオン・リージ...小説『魔界の饗宴』その74

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