海の泡沫 7
少年の長い髪と持ち物を売ってお金を得たおかげで、しばらくは漁師の男の家は食べる物に困らないで済みそうでした。 丸く焼きあがった素朴なパン、野菜のスープに、貝と魚を焼いたもの等——町で買った食料品が加わった料理が、漁師の家の木の食台に上がりました。 漁師の男が作ったそれらは手間をかけない素朴な料理で、贅沢とは言いがたいものでしたが、それでも新しく手に入れた小麦粉や卵、調味料が入った事で、いつもの質素な食事より良いものになっていました。 人間の食物の良し悪しを知らない少年も、何となく食べ物の量や種類が増えた事は分かり、喜んでそれらに噛り付いていました。 し..
2010/08/05 16:50