13人目の男 後編
そして今、若い看守は完全に椅子にされている。 囚人の男は、ふいにベッドから立ち上がった。 それは日常の自然な動作だったので、看守は男がトイレに行くか飲み物でも取りに行くのかと、そんな行動を想像して立ち上がった姿に目をやったが、そのどちらも外れていた。 一度立った男は日常の当たり前の事をするような動作で、看守の身体の間に自分の腰を下ろして座り直してしまった。 男の横で肩幅程度に足を開いて座っていた看守の足の間を座椅子に、そして胴部を背もたれにする状態だ。 それは看守の胸をリクライニングシートのように使った、さながら人間椅子のような扱いだっ..
2010/07/10 19:30