知らぬが仏
かれこれ20年以上前のはなし。動物生理学研究室の門をたたいた僕の胸は、興味に満ち満ちて踊っていました。受講する講義は、かつて少年の頃に抱いた疑問のすべてに明確に答えてくれる内容のもので、僕は子供のように目を輝かせて教授たちの話に聞き入っていました。やがて講義の内容は、概論や各論を論じる聞くだけのもの徐々に実地講義に移っていきました。標本を見る、触る。生体を見る、触る。そして・・・対象はからだの中へ。僕は学生時代、単位取得試験の勉強をしたことがありません。聞いたそばから覚えてしまうからです。講義ノートもほとんど残っていない。講義で見るもの聞くものすべて、自分にとってそれほど刺激的でおもしろかった。好奇心を満たす刺激はさらに好奇心をかき立て、動物たちに向けられる僕の目は、その動物の”しくみ”だけにシフトしていきまし...知らぬが仏
2009/11/30 14:56