古本屋ピノキオブックス店主のブログです
ピノキオブックスは、本や雑誌、図書館が好きな人のためのオンライン・ショップです。 http://www.pinocchio-books.com/
ABSOLUT BROOKLYN [1] 無造作に脱ぎ捨てた靴下のようなマンハッタンの、 つまさき部分にあたるミッドタウンを 東の端から西の端へと横切って、 イーストリバーの底をくぐってブルックリンに抜け、 ゆるやかに南下してゆく路線がLトレイン。...
Are you here to sightsee?(観光で来たのか?) Yesと答えたものの、何か腑に落ちない。 アメリカ人の入国審査官は、わたしにパスポートを返し、 さっさと行けという表情だ。 水際で足止めをくうのはまっぴら御免だから、 うながされるままパスポートを...
おしっこが出ない。 いや、より正しく言えば、出そうとはした、8時間くらい前、 キャビンアテンダントに「トイレはどこですか?」と聞いたのだ、 不慣れな英語で、Where's the restroom?と。 彼女は笑ってくれた、口元は。目元も笑っていたかは定かでない。 そ...
ピノキオブックスが古本の清浄に使用しているのは、 消毒用エタノールです。 水は元より、オレンジから成分を抽出した家庭用洗剤、 その他も試してみましたが、これに勝るものはありません。 エタノールが主に活躍するのは表紙カバーの汚れ落とし。 脂汚れやホコリ、タバコのヤニに...
ずうっと気になっていて、とうとう昨日、 写真に収めてしまった「とびだし君」です。 家の近所で採取。「路地もの」です。 いっそコレクションにしてみようかと思いましたが、 念のため(?)ネットの検索エンジンにかけてみたら、 やっぱりというか当然、 とっくに始めている方...
メガネは顔の一部、だったのに… 最近、ベッドで横になりながら、 仕事の資料や趣味の本を読んでいると、 文字がかすんでよく見えない。 思い返せば、去年の秋からたびたびある。 もともと近視+乱視の持ち主で、 そのうえ医者に診てもらったわけじゃないけど、 きっと睡...
この5月は、NHK-BSとWOWOWがそれぞれ クリント・イーストウッドの映画特集を組み、 合計26本の出演・監督作品が放送される。 我が家では、放送解禁の『グラン・トリノ』をはじめ、 『ダーティハリー』シリーズ全5作、 『ファイヤーフォックス』のHD版などを録画した...
現在は海軍基地や漁業などで知られる南イタリアの都市ターラント Tarant。古代ギリシアの頃はターレス Tarasと呼ばれ、ローマよりも栄えていた都市国家(ポリス)だ。のちにローマ帝国の支配下になると、「街道の女王」ことアッピア街道の南端タレントゥム Tarentumと呼ばれ...
ワルシャワ音楽院を首席で卒業し、ピアニストとしても作曲家としても成功した19世紀ヨーロッパの寵児。祖国ポーランドの独立を願う情熱的な愛国の徒。前期ロマン派の優美な旋律を持つ楽曲の数々。頤(おとがい)が小さく華奢で繊細な容貌の肖像画。パリのサロンにおける華麗なる社交。音楽家のリスト...
ドラマにかぎらず、ピアニストを物語に登場させると、ショパンを避けて通れないようだ。ちょうど今、上野樹里、玉木宏主演の 『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』 が劇場公開されているけれど、ここでもショパンがひとつの山場で演奏されていた。原作はご存知のとおり二ノ宮知子の人気漫画。女性...
テレビ・ドラマでもショパンは大人気だ。僕は未見だが、一世を風靡したトレンディドラマ『ロングバケーション』では、「けっこうショパンを聴いた」と、木村拓哉ファンの女友達が言っていた。山口智子ファンの男友達は全然気がついていなかったけど… そういえば、NHKの教養バラエティ番組『みんな...
〈別れの曲〉に限らず、ショパンの曲は劇中でよく流れる。この10年くらいの映画で言えば、パルムドール(カンヌ映画祭最高賞)を獲ったロマン・ポランスキー監督の『戦場のピアニスト』が印象的に残る人も多いだろう。 個人的には、レオ・マッケリー監督の『我輩はカモである』とか、エルンスト・...
フレデリック・フランソワ・ショパン。「ピアノの詩人」と称されるこの音楽家は、演奏にも作曲にも優れた才能を発揮して、たとえ極東の島国に住んでいようとも、たとえクラシック音楽に通じていなくとも、日々テレビや映画を通じて耳にする。 78rpm recordこと通称SP盤が鳴っていた...
ことし2010年は、1810年生まれのショパンにとって生誕200年にあたる。それにともない、さまざまな企画、催しが目白押しだ。気がつくと、NHKではホームページに専用サイト 『みんなのショパン』 をオープン。関連番組やイベントの紹介をはじめ、ショパンのバイオグラフィーや、著名人か...
1810年、ショパンが生まれた年に、栄華を極めていたナポレオンがオーストリアのお姫様と再婚した。これは、せっかく世襲制の帝政を敷いたものの、前妻とのあいだに子供ができなかったことが理由とか。縁組みをしたのはオーストリアの外相メッテルニヒ。抜け目ない。さすがハプスブルク家の切り...
音楽室のピアノと肖像画。 それが小学生の僕にとって、クラシック音楽を象徴するものだった。昭和初期に建てられた木造の校舎には、弦楽器を収納するスペースも予算もなかったし、弦楽器を演奏できる生徒どころか先生もいなかった。 ピアノは小学校にある楽器のなかでいちばん大きく、またピア...
2月の初め、このポスターを見て以来、ずうっと気になっていた 世田谷文学館 の『石井桃子展』。2月6日から4月11日まで、開催期間がほぼ2ヶ月もあると油断していたら、いつのまにかあと2週間となった4月4日の日曜日、ようやく重い腰をあげて、文学館に足を運びました。 好運にもその日は...
世界中に星の数ほど酒場があるのに、どうしてこの店に来たんだ! 年寄りが懲りもせず「もう一杯」と空いたグラスを指さしたとき、 まだ若いウエイターは胸のうちでこう呟いていたのかもしれない。 それは、とある反ナチス・プロパガンダ映画なかで、 酒場の主人が吐き捨てた台詞にそっ...
19世紀末ウィーンに文化の爛熟が見られるのは、 多民族・多文化を受け入れる帝国だったことが とても大きいといわれています。 とくにユダヤ人に対しては寛容でした。 むろん、600年を越えるハプスブルク家の支配は まだ続いていましたし(末期でしたが)、 多民族・多文化も...
高校時代、家と学校の合間には四つの館があり、授業を脱け出した私をかくまってくれました。 一つめは体育館。 運動部に所属していたので、学校には無い荷重マシンのお世話になりました。もっとも目的は、筋力アップよりは減量でしたが… 二つめは図書館。 当時は今にもまして「本格派の読...
白砂糖ほど危ないものはない。あれは最も垣根の低い麻薬だ。 亡くなった父は、そんなことを息子の私につぶやきながら、 自分は猪口を口元に運び、ご満悦でした。 たしかに父の言葉には一理あります。 まず、彼の父、私の祖父は和菓子職人で、 その世界において「甘味は柿をもって最上...
今秋、たばこ増税が実施される見通しです。日本では事実上、JT(日本たばこ産業)の国内独占製造が続いていますが、これにより、海外に比べれは安く消費者は買うことができます。さらに、日本市場では密造したり、横流ししても割に合わないとされ、ヨーロッパのように数百億円もの脱税に至る非合法...
講談社の「月刊アフタヌーン」に、 豊田徹也が『珈琲時間』を連載を始めたのは、2008年の夏。 それをさかのぼること3年前の春、 日本で公開されたのが『コーヒー&シガレッツ』です。 監督はジム・ジャームッシュ。 1980年代の半ばに、多感な時期を過ごした人にとっては、 ...
前回とりあげた豊田徹也の『珈琲時間』。 私が特に惹かれてしまったのは 中身のマンガよりも表紙、カバーイラスト。 大好きな吉野朔実に、タッチがちょっと似ているのです。 それもどちらかというとマンガではなく、 本や映画のレビューに添えるイラストのほう。 いうなれば、「ぶ〜...
数年前『ジョゼと虎と魚たち』などで知られる犬堂一心が監督し、 アイドルグループの嵐の5人、大野智、櫻井翔、相葉雅紀、 二宮和也、松本潤がせいぞろいした映画『黄色い涙』。 あれの原作者が永島慎二でした。 永島慎二のDNAを持った現役マンガ家は何人もいますが、 その中の一...
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