僕が僕でなくなるとき・・・35

僕が僕でなくなるとき・・・35

三十五 寝顔を見つめながら昔を想う橙の心にはっきりと彼の姿が浮き上がった。 母の前を何度も何度も行きかう。必死にボールを蹴り追いかけてはつま先を使いはじいた。 得意な彼の表情は、その母の視線を意識し