【本編-20】
「ひとまず村の周囲を囲う気配を散らすとしよう」気持ちを切り替えた緋早音は立ち上がると障子を開けようとした。が、緋早音の手を嘉早音が掴み動きを止める。「緋早音…これ以上私達の為に自然の摂理に逆らう事はないわ…」緋早音は目を見開き大声で嘉早音に怒る。「なんだ、その弱音はっ!!」緋早音の真っ直ぐな思いを直視する事が出来ない嘉早音は俯きながら力なく呟いた。「…人は死に逝くものだから…」緋早音は更に声を荒げた。「嘉早音は死を望んでいるのかっ?!」「そんな事はないわ。ただ、緋早音が私達の為に身を呈する事はないわ」俯いたままの嘉早音は首を横に振りながらそれでも緋早音の手を離そうとはしなかった。「緋早音は十分してくれたわ…ただ、これ以上この村に関われば今度は緋早音が暗者に殺されちゃうかもしれない…」暗者がいる状況を見越しての嘉...【本編-20】
2011/11/29 21:00