『列王記』感想

『列王記』感想

『列王記』ではダビデ亡き後のイスラエルとユダの歴史がつづられている。基本的には後半になるにつれて、散漫になるという印象を受けた。その理由は単純で、内容が単調だからだ。歴史書の宿命か、劇的な事件が起こらなければ叙述はどれも似たような内容になり、事実の羅列が続く。そもそも幾人かの王は名前も似通っているし、王国が南北で分かれたため、どっちがどっちの王だったのかわからず混乱した。その中で、内容として目を引いたのは、ダビデ亡き後の権力闘争だろうか。『サムエル記』で強烈な印象的を残したヨアブもその過程で殺されるが、そうした闘争を経てソロモンは王位に就き盤石な態勢を築く。だが聖書はソロモンの治世を手放しで褒めたたえてはいない。というのも彼は統治の期間中、異教の像の建立を容認しているからだ。本書も歴史書である以上、最初に...『列王記』感想