王羲之 蘭亭序 (一)
謎に満ち惹かれて止まぬ書のありてそれ王羲之の蘭亭集序丹人なぞにみちひかれてやまぬしょのありてそれおうぎしのらんていしゅうじょここに掲げるは昭和五十九年予の齢二十八なる時に蘭亭序(唐馮承素本)を臨したるものなり予十代なる時は蘭亭序の文字が佇まひのやや端正さに欠けると見てそのよろしさを感じることなく時のうち過ぎてゆけり欧陽詢「九成宮醴泉銘」の端正整美なる書こそよろしきとおもひていたりされど二十代に入りて王羲之の書に徐々に惹かれてゆきにけるかなそれ予が書の見方の変化したることが要因なり書は文字が形の端美の追求のみにあらずして運筆の妙線の太細の妙変幻極まらぬ結体の妙こそ重要でありそれが書の本質なりと捉へはじめたがためなり以後数回に亘り予が蘭亭序へのおもひと蘭亭序が謎への解明への道程を記していかんとおもひぬるかな王羲之蘭亭序(一)
2012/03/18 21:00