ダーウィンの涙 30(END)
エリオスがなにかつぶやいた。アンリがエリオスを覗き込んだ。青い瞳が開かれた。「アンリ?」「エリオス、ここ、君のバラの館だよ」アンリがささやいた。エリオスは安心して微笑んだ。「かえってきたの?」「そうだよ。もう少し眠るといいよ」アンリはエリオスの髪を軽く撫で、額にキスした。エリオスは息を深く吸い込んで、また眠りに落ちた。アンリは体を起こして、ベットの横に立った。扉の近くにアマディスがダークグリーンの帝国軍士官の正装軍服を着て、踵を合わせて直立していた。「アンリ様、皇帝陛下におかれましては、フェレンバーグ公爵が死亡されたことを配慮され、フェレンバーグ家を法的に訴追するお考えはないとの思召しであられます。アンリ様、セシル様、及び一族の方々は帝国軍の監視下におかれます。ノルマリス伯爵家も同様です。フェレンバーグ家及びノ...ダーウィンの涙30(END)
2009/12/31 14:32