あの頃の氷砂糖のように。

あの頃の氷砂糖のように。

歴史を感じさせる佇まいのホテルにある小さなティラウンジで、僕は窓際の席に腰を下ろしてコーヒーを飲んでいる。はめ込み式の重たいガラス窓の向こうでは、鈍色の低い雲が空を覆い、遠くに広がる港町の風景はやさしく降る雨の向こうに滲んで見える。平日の、