(ユキガカリ・ナルヨウニシカナラン)
(画像は勝手イメージ:勝手ナ物事語リ)【赤い髪の女ツネ嬢】(21)茶店の滴が垂れる窓の向こう側。肌寒い外は輝きのない淡い灰色だった。心の暗さで沈んでいた。魚町(トトマチ)通りの人気のない濡れた舗道。穏やかな風に流れる粉糠な驟雨で静かに煙ってた。「カッキャン。アンタ苦しぃないんかぁ?」❍○さんが鼻歌混じりで、ワイに訊いてきた。コンマイ匙ぉ太い指先で摘まみ、珈琲カップの中を搔き回しながらやった。「ナンもないですはぁ」ワイ応えながら茶店の木枠窓に嵌った、細く流れる露で濡れた硝子。俯いたまま首を無理やり曲げながら覗いた。ワイ。❍○さんの方を向くのが厭ヤッタ。コッチぉ観てる❍○さんの眼を覗くコトができなかったから。短くなった煙草ぉ、口に挟みかけたら窓の外を人影が横切った。入口扉に吊るされた小さな鈴が鳴った。濡れた肩で扉ぉ...(ユキガカリ・ナルヨウニシカナラン)
2012/07/10 02:18