02.誰も知らない

02.誰も知らない

さくらいろの世界で、その人は微笑んでいたのだろう。その後姿だけでも、分かる「幸せ」な時間。羨ましいほどの、明るい世界。 パネルの中の猫は、こちらをじっと見つめている。 ———どうして、私はこの世界に存在できないのだろう。 * * * *