カラスと木瓜の花 (21)
知らないあいだに伯母ちゃまになっていた。父から連絡があった次の日の夕暮れ。来年が数日後にせまった年の瀬の夕暮れ。ちょうどその頃、携帯は義弟からの速報メールをそっと受け取ったのだろう。たぶん私が、映画プリティウーマンを連想させるカップルの接客に徹していた頃。長い長い陣痛をのり越えた妹と、予定日より少し遅れながらも元気に誕生した甥っ子に逢えたのは、その翌日のことだった。病院へでかける際、一緒に行こうかとモトさんに声をかけたけれど、用意されていた分厚い祝儀袋を差しだされ、静かに断られた。大晦日、せっかくの連休初日も、これといって予定がなかった。モトさんと神田くんと、帰るところ(故郷)がもうないと言っていたうさぎちゃんと、本宅のこたつで飲んだくれながら年を越した。神田くんはずっと焼酎ロック片手に、憲法ぎっしりの書物を広...カラスと木瓜の花(21)
2009/02/01 19:00