立花 20.栞

立花 20.栞

きらりと光の跳ねたそれに、私は近付いていく。 すうと息を吸うと、胸に本の匂いが溜まっていく。静かなその空間が私は好きだった。 かたりと音を立てて椅子を引く。高くそびえる棚を見上げると、背表紙が私を見下ろしている。 もう一度すうと息を吸うと