温かい日差しを浴びて、 子どもと私は、 3年弱通ったena校舎に赴いた。 重い扉をゆっくりガチャリ と開ける。 すると、まるで図ったように、 校長と副校長は受付に立っていた。 先生ぇ! 子どもが言いながら駆け寄る。 そして、照れながらも、 俺、都立中志望校に受かりました! ...
以下は、後日鍵垢にします。 もう、怨念しか籠もっていません。 心が折れます。 ちなみに、 何故、 これだけ追憶篇の制作に、 時間がかかったかというと、 この話にとんでもないオチがついたからだ。 実は、 受験終了後、 あり得ない出来事が起きた。 それは、遡ること卒業式の10日...
すると、 突然、あまりの錯乱状態に頭に血が上ったのか、 私は、生まれて始めて人前で鼻血を出した。 校長は青ざめ、 咄嗟に私にティッシュペーパーを渡さす。 スミマセン。 といって、束のティッシュを受け取り、 血だらけになった手で持って、 鼻骨部分から鼻先に塊を押し当てた。 (...
毒親と思われても仕方がないが、 学校や塾での盗難も、 これら全てが、 子どもの自作自演かもしれない。 と、最悪の想像をしたことはある。 受検からストレス、 親の愛情を試したいだけかもしれない。 と、妄想して、 自分を悲劇のヒロインに仕立て上げたことは、 一度や二度でない。 ...
春期講習会が終わると、 すぐに本科授業が、開始する。 それと同時に、 保護者会が開催された。 4月16日(土)午後。 各学年ごとに、 一学期の勉強に対する姿勢や取り組み方について、 指導がされる。 もちろん、 最重点学年は受検が迫った小6と中3だ。 私はあらかじめ、 講習会...
時間も夜10時を回り、 このまま話しても埒が明かないので、 資料をすぐにメールに添付してほしい。 とお願いしたが、 個々人で内容が違うものだから、 すぐ用意出来ない。 と回答された。 及第点として、 明日の授業終わりには必ず用意して、 子どもへ持たせるよう、 徹底してもらい...
enaから言われた回答は、 スミマセン、明日資料お渡しします。 でも、 すぐにメールでデータ送ります。 などではなく、 我が校のアシスタントは、 精鋭揃いだから、配り忘れるはずがない。 だった。 何故、そんな対応が取れるのか、 全く理解が出来ない。 一切、自分達には非がない...
3月20日を過ぎるも、 春期講習会の合宿講座に必要な資料の一部が、 講座受講ギリギリになっても、 一向に渡されない。 中には、宿泊行事のものもあったため、 集合場所も時間も必要な持ち物もわからず、 困り果てた。 業を煮やし、 明後日に春合宿が迫った夜、 塾に電話をした。 2...
前回の投稿から大幅に投稿遅延が生じてしまい、 申し訳ありません。 以下、 プライベートな内容のため、 最後まで触れずにいくべきかと悩みました。 が、 このエピソードを話さないと、 合格発表掲示を見る前の塾での会話が伝わらないと考え、 あえて、 センシティブな内容に触れていき...
自宅に戻り、 都立合格校への登校準備を始めた。 いるものは、 受検票と印鑑。 そして上履き。 一応、身分証明書として、 保険証と私の免許証を持参した。 enaには? そうだ。 enaからは、合否にかかわらず、 朝11時までに連絡するように と壮行会の際に指示されていた。 先...
あっお母さん。 何度もごめんなさい。 ほらぁ!ちょっと検査結果見てぇー。 ここ、インフルエンザの方。 薄っすらと線が出てると私は思うんですよね〜。 あ~ハイ…。 もう、キャパ越えた放心状態の私には、 目を凝らしても、 縦線があるのかないのか、 理解が追いついていなかった。...
お父さん! 俺、受かった! 都立中志望校。受かってたよ! ありがとう。 うん。 じゃーね。 あっ、お母さん。 小子どもの検査結果どうだった? 俺は今、お父さんとかほくのじいちゃんに 電話した。 いやー。マジで嬉しい。 お母さん? 聞いてる。 聞いてる。 てか、何故今? 家帰...
2024年3月某日。 前日の天気予報では、 昼から雨というものだったが、 生憎、子どもの卒業式は花冷えとなった。 学校長式辞の際に、 校長先生が、 不可能の反対は、 挑戦だと話された。 端から出来ないと諦める。 失敗をして途中で投げ出す。 無理だと思って目標を下げる。 めげ...
お母さん! 受かった! 受かってるよ! 俺! シャッー! ぎゃーーーーー ぎゃーーーーー …へ? ポカン。 お母さん。お水…。 小子どもさーん。 待合室へー! まさかの報告。 目の前には、 有頂天外 の子ども。 絶体絶命 の小子ども。 阿鼻叫喚 の双子。 茫然自失 の私。 ...
小子どもは、 高熱を出すと、 よく吐き気を催す。 乳幼児クラスの頃は、 前触れなく嘔吐から体調を崩した。 自分で気持ち悪いという感覚が、 わかってきた昨今は、 自己申告出来るようになった。 些細な違いだがら 私達にとっては大きな進歩だ。 ちなみに、自宅の場合は、 便器に向...
小子どもを引き連れ、 私は診察室に入った。 昨日からの病状、 保育園の感染状況について、 聞いていることを端的に話す。 喉の腫れ、 熱症状からみて、 既に、インフルかコロナ、 なんらかに片足を突っ込んでいるには、 違いない。 先生から、 とりあえず、一度検査をしましょう...
迎車のタクシーに飛び乗り、 かかりつけ医の小児科へ。 ワンメーターあまりで到着。 診察券を渡し、 再度、体温計が手渡される。 診察待合のソファは、 発熱外来児とそうでない病症の子とで分けられる。しかし、平日朝イチに来る子どものほとんどが、 発熱を伴う体調不良による緊急受診の...
体温を測ると、 小子どもは39度超えであった一方、 子どもは37度と多少は高いが、 微熱程度の具合だった。 インフルエンザワクチンを10月初めに打ったことと、 一度罹患していることもあり、 抗体があるのだろう。 小学校には、 朝8時までにスマホアプリで、 欠席連絡をすること...
2024年の2月9日朝6時。 運命の朝。 ちなみに、朝6時起床ではない。 前夜から、 小子どもの高熱に伴う、 吐き気を催す度に、 風呂桶を携え、 背中を擦るのを何度も繰り返した。 お陰で小間切れに3時間程度しか寝れていない。 圧倒的眠気が襲う。 ちなみに子どもの登校問題は未...
当初、合格発表日は、 二月の勝者の島津順くんスタイルで、 子どもは学校へ行かせて、 親がWEBで確認し、 合格なら、 単独で合格手続きが無難かなと考えていた。 個人的には、 子どもをお昼休みにピックアップして、 一緒に行って喜びを噛みしめるというスタイルが、 本望だった。 ...
急な無茶振りをした、 平均台じゃんけん。 通称、どんじゃんに誘ってみた。 絶対拒否されると思いきや、 じゃぁ、3本勝負ね。 と、意外にも子どもは話に乗ってきた。 L字クランクが2本、 段差違いで地面に設置されている木製の平均台。 その両端からスタートし、 落ちずに前進し、渡...
小子どもが、 コロコロコミックが欲しいというので、 仕方なく、600ページの分厚い雑誌を抱えながら、 私は、参考書コーナーに足を向けた。 子どもは中1の参考書コーナーでワークを見ている。 既に中1の前半は、 enaのパースフェクティブが、 一通り揃っているはずだが…。 朝に...
遡ること2024年2月4日(日) 久しぶりに家族で外食をした。 本当は、 デニーズでやっていた Regaloの小倉シェフ監修のパスタコースが 食べたかった。 けれど、 そのタイミングにフェアは開催されておらず、 一方で、口がイタリアンだったこともあり、 近くのショッピングモ...
会社へ保育園からのお迎えコールの旨を報告し、 そのまま家路についた。 しかし、 お迎えからの病院では、 恐らく、午後の診療時間に間に合わない。 そもそも、よくある話で、 インフルやコロナの感染直後は、 検査薬の反応が良くない。 そのため、 せっかく小児科に夕方駆け込んで、 ...
仕事もある程度落ち着いたある日、 朝からの客先訪問を終え、 職場へ戻る道中で、 個人携帯が鳴った。 ディスプレイにはなんと保育園の表記。 あぁぁぁぁ。 嫌な予感しかしない…。 恐る恐る、 電話の受話器ボタンを押す。 保育園の先生からの悲しいお知らせ 先程、延長番の前に、 お...
2024年2月5日(月) 私は定時前に会社に居た。 今日から職場復帰だ。 関係部署へ菓子折りを持ってのお礼参り。 後から知ったことだが、 多くの戦友が、 中学受験のために、 長年勤めた会社を辞めている事実を知った。 仕事内容、 規模感、 職種、 地域、 そして職場のメンバー...
2月4日(日) ゴタゴタな家の掃除を開始。 徹底的にやるのは、 やはり集中部屋だ。 掃除の合間、教育系YouTuberの発信する、 高校受験対策講座動画を流しながら、 壁に貼ったenaの入試直前出題範囲講習会の画像を スクショしてプリントアウトした紙を一気に剥がす。 集中部...
2024年2月3日19時半帰宅。 模擬解答どうだった? と聞いても、 解答再現後の雑談の方が、 楽しすぎたようで、 あー、なんか、 塾内で1番優秀な子と見比べて、 違ってるとこもあったけど、 まぁ、もう終わったことだしー。 と、全く緊張感の無い顔だ。 なんのために行ったんだ...
昼食を終えて、 私は、子どもにペットボトルを買い与え、 enaの校舎の前に居た。 食べる時間があるのかわからないが、 差し入れとして、 お饅頭を手渡す。 他校では、 みっちりやるようなことを言っていた。 しかし子どもの校舎は、 集合時間に来た生徒から、 問題用紙の複写をし、...
ゲームの世界の勇者は、 ラスボスを倒した後、 どうなるのか。 英雄として、像を建てられる。 誉れ高き存在として末代まで、 上級国民として生きていく。 お姫様と結ばれて、 王様になるというタイプもあるか。 目の前にいる我が家の勇者は、 ノーテンキに、 大好きなオムライスを頬張...
未だ嘗て、 塾講師から、 自席で飲食をした生徒が受検に合格したという話を聞いたことはない。 隠し持ったラムネをこっそり食べたや、 タオルに包んだチョコをトイレの個室で舐めたなどの話は聞いていたが、流石に自席ではない。 まさか、自分の子どもが、 試験当日に水分を忘れて、 入試...
私はあまりにショックに、 桜の木の生け垣に頭を擡げてへたり込んでしまった。 嘘だ…。 えっ待てよ…。 冗談だろ…。 なぜ…。 どうして…。 よりによって…。 受験本番だぞ…。 今日が集大成の勝負の日なのに…。 まさかの…。 水筒忘れに気づかずに、 試験会場に送り出していた。...
私と目はあったものの、 1つ問題があった。 親の居場所がわかる一方で、 その間には、 数百人の保護者が、 我が子が出てくるのを今か今かと待っている。 その群衆をかき分けて、 子どもを木の下まで着させないといけないという、 非常に手間のかかることを、 試験前の約束した瞬間には...
子どもの受検番号は、 験を担ぐため、 募集定員よりも前の数字になるように、 12月20日の出願開始時刻の0時00分ピッタリに、 出願作業を開始。 ものの5分で終了。 果たして、1番をゲットした人は、どれだけの秒単位で出願を終えたのだろうか。 若い受検番号のほうが、 早く退室...
教職員からの指示は特段なかったが、 暗黙の了解で、 校門付近に居る保護者から、 続々と昇降口前の廊下を陣取っていく。 一方私は、前線の包囲網にスタンバることなく、 少し小高くなった桜の木の下まで歩く。 昇降口の入口からそこが一直線に目に入る。 小柄な私にとって、 このぐらい...
映画を見終えた私は、 塾に直行する際に、 持っていく差し入れを物色していた。 受検を終えた生徒たちは、 午後、校舎へ赴き、 模擬解答を作ることになっている。 そうすることで、 自分の大体の獲得点数を知ることができる。 また、 enaの解答速報の材料となるのだ。 ただ、そんな...
上映開始5分前。 平日朝の映画館と違い、 既に多くの家族連れやカップルで、 映画館は混み合ってきた。 幸い、パンフレットのレジは、 単独仕様のため、待ち時間無しでスムーズに購入。 今回は、席も一番見やすい位置だ。 幕間の合間にパンフを閲覧。 まず、金をイメージした箔押しの...
都立中志望校の門を出ると、 10分前とは比べ物にならない受検生の行列が、 延々と駅まで続いていた。 そこで気づいたのがやはり、 至る所に塾講師が生徒に声掛けをしている点。 皆、100%私服だ。 これが今後は定番になっていくのだろう。 そんなことを横目に、 私はダッシュであ...
子どもはそう言うと、 こちらを振り返ることもなく、 1人校舎に向かって歩き出した。 受付の先生に受検票を見せ、 そのまま下足箱の奥へと歩いて行った。 おそらく下足入はすぐに出せるだろう。 受検の送りはなんとか役目を果たした。 さてと…。 私にはこの後、やることがある。 なん...
曽祖父と二月の勝者の島津順くん スタンドを率いた子どもとと共に遂に到着した。 都立志望校正門。 時刻は8時ジャスト。 すかさず、校門の前で一礼するのも忘れない。 私の危惧を他所に、 保護者は校内の敷地へ入ることを許されていた。 幾ばくか別れの時間が伸びる。 私は子どもに、 ...
二月の勝者のトップ生、 島津順くんが受験直前に、 黒木先生に似たようなことを言っていた。 子供からの震えが止まらない発言に、 こちらも臨戦態勢に入る。 学校までは後200メートルほど。 既に、 志望校へ向かう親子の渋滞が出来つつあった。 とりあえず、 気持ちを持続させる...
あれ、A先生じゃないの? 私が子どもに話しかける。 あっホントだ! 子どもが迷わず先生に駆け寄っていく。 周知の事実だが、 都立中高一貫校は、 各塾講師による校門前の激励会の自粛を要請している。 そのため、 二月の勝者で描かれる、 校門前に各塾が旗や登りを立てて、 受験生を...
祖父は第二次世界大戦で、 陸軍士官として、 持ち前の語学を活かして、 終戦頃まで、 国に奉仕していた元軍人だった。 あまり多くを語る人ではなかったが、 会うたびに、 私を気遣い、えっちゃけなと頭を撫でてくれた。 そんな祖父は4年前、98歳でこの世を去った。 既に輪廻転生して...
都立中志望校には、 小4の頃から目標校にしてきた。 土曜の授業参観の際、 同小卒の先輩が書いた手書き英文の掲示物が、 廊下に貼られ、 そのクオリティーの高さに、 度肝を抜かれたのをよく覚えている。 これまでに、 学校説明会、 授業見学会(父母2度) 体験授業、 文化祭(W...
外気は予想よりも冷たく、 カイロを持って出た子どもが正解と感じた。 でも、駅へとどんどん歩みを進める内に、 徐々に身体は温まり、 周りを見る余裕も出てきた。 今日は、国公立中学校の本番だ。 しかし、土曜日ということもあって、 やはり、通勤通学の人手は少ない。 駅に着く直前に...
時計の針は7時を回ろうとしていた。 私は、自分用の水筒をいざ、 仕事用カバンに入れようと思った。 しかし、 昨日、コンビニで買った飴や ウィダーインゼリー、 先生から餞別としてもらったきのこの里、 お守りジップロック等も持っていきたく、 急遽、 目についた保冷機能付きのお弁...
2024年の受験3日間は、 連日15度近くの暖かい陽気だと聞いた。 そのため、 汗を掻くと痒くなる恐れのある化繊の下着は全て除く。 子どもが好んだのは、 無印良品の綿のタンクトップ。 どうせ大きくなるしと、 セール品の紳士Sサイズを買ったのが、 確か、去年の秋頃だったか…。...
2024年2月3日(土) 朝5時前起床。 筋肉痛は、薬が効いたからか、 ほぼ皆無だった。 とは言え、 仮に、ガチガチでも、 この時点で父親に変わってほしい と言ったとて、 彼は絶賛、夢の中だ。 身支度を整え、 朝食の用意を始める。 昨晩、仕込んでおいた鮭の塩麹、 大根と揚げ...
もし、緊急事態が起きたら、 これ使いなさい。 私は特別、 代替のメガネには触れず、 とはいえ念の為、 父親のお古のメガネケースに移し替え、 サウナで持っていくインナーバッグを 塾のリュックの背の部分に入れた。 バッグの中身は、 もしもの、 圧縮袋に最小限に畳んだ洋着替一式(...
2024年、2月2日19時30分 子ども帰宅。 これで正真正銘、 泣いても笑っても、 受検前最後の塾通いが終わった。 3年間、本当にここまでよく来たなと言うのが心境。 前夜の夕食 汁なし担々麺 エビマヨ サラダ 十五穀米 食事を済ませると、 すぐに たっぷりのお湯が張ったお...
2024年2月2日15時 私は、都内の整形外科のレントゲン待合室の前にいる。 1時間前。 自転車で転倒した後、 帰宅した家で、 父親に言われた一言。 すぐに整形外科で骨を見てもらえ。 だった。 幸、会話の受け答えも問題なく、 頭痛も吐き気もない。 全身に力を込めたことで、 ...
15分後、 路肩でしゃがみ込む私に、 血相を変えて、駆け寄る父親。 その頃には、 既に腰と最初に転倒しかけた時に、 力んだ腕から肩、 背中部分の痛み以外は引いており、 自転車を押して帰るために、 父親を呼んだ。 一方で、 父親が来るのを待つ間に、 異変に気付いた通りがかりの...
ゴトン!! ドゴ! ゴン! 尻、腰、背中、腕、肩、肩甲骨からの後頭部。 ピタゴラスイッチの如く次々と私の躰は、 地面にバックハグしていった。 加えて、 ほぼ同タイミングで、 小子どもがみぞうちに降ってきた。 ゴフォッ もう、脳内に、 ピ の旗が上がる。 意識はある。 手足の...
小子どもが私を呼ぶ。 ははぁはぁと、息も絶え絶えな中、 異音の出どころを見てみると、 自転車のチェーンが外れていた。 顔面から血の気が引く。 なんとか暴走した自転車を自力で静止し、 ほとんど、足に力が入らない中で、 横転した自転車を渾身の力で、 スタンドを立てるところまで、...
残りのバッテリー残量は、 20%を切ると、 それまで10単位で表示されていた数字が、 17、16…と1ずつどんどん減り続ける。 正直、ここまでくると、 電源を入れずに走る時の車体の重さと、 ほとんど差が無くなってくる。 しかも、ギリギリの精神状態の私には、 この数字が、 さ...
とりあえず、傾斜のある坂道以外は、 バッテリーモードはlowを徹底した。 更に平坦な道では電源をオフにして電気の消耗を控えた。 既に10年近く乗る電動アシスト自転車は、 充電が残量20%を切ると、 鉛のように重くなる。 まさに鉄の塊だ。 なんとか数個向こうの駅までやってきた...
自宅へ1人戻り、 私は安全校へ合格書類を取りに行くための準備を始めた。 一つ懸念材料があったのは、 小子どもだ。 本当は、 今日のこの時間、 小子どもと一緒に遊ぶ約束をしていた。 しかし、 私は安全校の合格発表後の手順を見落としており、 受かった翌日に、 学校へ再訪し、 書...
急遽作ることになったお弁当。 最初、子どもは私が手作りすることを拒んだ。 当初、これ以上迷惑かけたくないという気持ちからかと思った。 あんたバカァ?? お弁作ることぐらいしか応援できないんだから、 作らせなさいよ。 どこぞの式波・アスカ・ラングレーだ。 ちなみに、 単純に冷...
昨日、本音を私に止めたあの瞬間から。 心の何処かで予想していた。 でも、 あの時は子どももきっと続きが言えなかったんだろう。 彼は、逃げるように隠れるように コックピットの中(自分の殻)へ閉じ籠もり、 リビングに突っ伏す30分の間に、 逃げ出すことよりも自分の選んだ道を進む...
俺、 明日の都立中、絶対に受かりたい。 全力出したい。 それには、 今日受ける学校の合格なんて関係ない。 安全校の合格書類もわざわざ取りに行かない。 他校のことやる時間があるなら、 1つでも多く都立中の過去問解きたい。 別解も。 それ以外意味がない。 父親に向かって子どもは...
最初に話し始めたのは、 起きて数分しか経っていない父親だった。 おはよぅ。 昨日の試験、全力出せたん? すかさず子どもの背中を擦る。 私は咄嗟に二人に背を向け、 両腕を組んで天井を見上げた。 子どもが持つ朝日小学生新聞が、 グシャリっと音を立てた。 そして、 子どもは、 …...
突っ伏したてから、 かれこれ30分が経過した。 時刻は6時45分だ。 ご飯できてるよ。 食べようよ。 返事は無い。 既に4度目だ。 今日の入試会場は、徒歩圏内。 駅前の有料駐輪場を使えば、 10分足らずで着く算段だが、 流石にもう、 朝のルーティン勉強をしている余裕はない。...
朝5時起床。 念の為、もう一度スマホで合格発表を確認。 たまたま、 入れ間違えた受験番号のお子さんと 誕生日が一緒だった説もあるかもしれない。 再度、入れ直す。 当たり前だが、 ブラウザの内容は、 変わらない。 ちなみに、 この学校は、 元々、繰り上げ合格を設定していない。...
その夜は不思議な夢を見た。 学生なのか、 それとも、旧陸軍将校のような佇まいの青年が、 こちらに向かって手を振っている。 ホントにゴールデンカムイの見過ぎだな。 私に近づいてくる。 青年は、どことなく息子に似ていた。 予知夢か? その青年が私を呼ぶ。 いつか聞いた声にも感じ...
ガチャ。 私は、おかえりと声をかけた。 と同時に、 安全校受かってたよ! と、聞かれる前に、 添付されていた合格証書をカラー印刷し、 子どもに渡した。 要らないと言われても、 渡してしまう空気を読まない私。 でも意外にも、 子どもの顔は予想していたよりも、 何倍もにこやかだ...
ミーティング終わりの父親が、 私に声をかけてきた時には、 時計の針はあっと言う間に30分近く過ぎていた。 食卓でご飯の準備を余所に明日の受験校について、 調べていた。 おかえり。 ただいま。 お疲れ様。 うん。 あっ、みて!子ども、安全校受かってた。 特A。 合格発表のタブ...
子どもを見送り、 家に歩いて帰ったときには、 既に時計の針は6時を回っていた。 私は、在宅する家族にただいまというと、 小子どもが、おかえり~と、 玄関まで迎えに来てくれた。 父親は絶賛オンラインミーティング中だ。 朝作った魯肉飯は、既に食べ終わり、 洗われた保温ジャーが、...
安全校からの帰り道、 電車を待つ傍らで、 子どもの体調を確認し、 塾へ行き前に、第4志望校を見て行くか? と聞いたところ、 一応行く と言ったため、 到着駅を一駅過ぎた第4志望校まで来ていた。 そこで聞かされた本音。 (それは、第4志望校も?) 聞こえるかギリギリの音量で問...
帰り道。 先に口火を切ったのは私だった。 お腹すいた? あー…。 干芋食べるわ。 もう少し、離れてからにしよっか。 駅のホームの端で間食する子ども。 …どうだった?テストの内容。 いつものトーンで聞いてみた。 普通に解けたよ。 算数とか3分の1の時間で解けて、 2回見直し...
2024年2月1日、16時。 試験のダブルヘッダーはやはりキツイ。 受験会場へ付き添う私でそう感じるのであれば、 子どもは既に、 限界まで消耗しているはずだ。 しかも、この後子どもは塾へ行き、 更に明日の入試に備える。 これが、RPGなら、 体力を全回復してから、 ラスボス...
私はスマホを取り出し、 午前中の状況をまずは塾へ報告した。 適1、時間が余り誤字脱字の訂正が出来る余裕があった。作文も満足の行く出来だった。 適2、入試説明会で告知された分野ではない問題に対応出来ず、白紙。 適3、問題の意味すらわからない大問があり、他問でも手こずった印象だ...
保護者の待機場所は、 3階の食堂だった。 そこには、小さなコンビニと共に、 食堂と銘打った自習室がある。 かつては、食堂として機能していたその場所は、 コロナを経て、 売店と仕出し弁当の注文窓口が充てがわれ、 そして、 今はその半分を間仕切りがされた自習室として機能している...
角を曲がったところには、 桜や合格絵馬を模った在校生や先生からの 応援メッセージが壁一面に飾られていた。 最後まで諦めないで! 選んだ道より選ぶ勇気! 絶対合格! 未来で待ってる! 皆さんが、かつて言われた言葉なんだろうか。 行く先には、立て札を掲げる先生が見える…。 今...
結局、 なんの言葉もかけられないまま、 安全校には、 本当にピッタリ3分で到着した。 校門の入口には、 説明会や体験会で何度も見たことのある、 採用責任者の先生が立っていた。 こんにちは。 寒かったね。 待ってたよ。 息子にゆっくり話しかける。 お母様も、 本日はわざわざご...
ハサミから目線が外せないことをいいことに、 子どもは午前中の不出来を私に詫びた。 チョキン 受験票が一刀両断された。 そう言い終えると、 しゃがんで解けかけた靴紐を結び直した。 強い風が吹いた。 少なくともこの子には、 明日も受けられるチャンスがあった。 未来の扉は、目の前...
親子の視線の先には、 1台の軽トラックが停まっていた。 ほんの数日前、 テレビのニュース番組で、 能登の公民館や避難所付近へ物資の援助として、 運送業各社が配達エリア対象外を中心に活動していたあの車だ。 ちょっと覗かない? またもや寄り道をする親子。 そこには食品から日用品...
交番を出た子どもは、 今日一でニコニコしていた。 どちらかと言うと、得意気というべきだろうか。 何歩か歩いた後、 ボソッとつぶやいた。 お財布の中身…。 あー、1024円? そう、お母さんも気づいた? えっ?何が? 1024は、 1キロバイトだよ! はぁい?! えっ?? 何...
小学校を通り過ぎると、 派出所が見えてきた。 すみません。 と声を変えると… はぁ~い。ちょっと待ってねー。 と、奥から男性警察官の声がした。 私は一連のやり取りを全て子どもに任せる。 あの、さっき、財布を見つけました。 おぉ、ありがとう。 偉いね。どこのあたりだい? 笑顔...
午後受験の会場がある学校の最寄り駅に到着。 午前中のような、フェスタ感は無く、 地元感が溢れていた。 歩きだして数分後、 保健所そばの信号で止まった際、 ふと向かいの歩道に目をやると…。 黒いこぶし台の小物が落ちていることに気がついた。 あれ、もしかすると、財布? 信号が青...
子供とお昼を食べたのは、 結局、隣の駅前の商業施設内の二郎系だった。 商業施設の中にはZoffがあり、 校門を出てすぐ、 直るかどうかをまず電話で確認してから来店した。 それと同時に、 もしかすると、 納屋のメガネを最寄り駅に持ってきてもらう必要があることを父親に示唆。 も...
おつかれ! 私から声を掛ける。 おぅ。 覇気の無い返事。 (おっと、この雰囲気は…) 経験があった。 作文が書ききれなかった時のテンションだ。 (ただ、浦実の時もそうだったし… それと同等?いや、それ以上か…) 次に話すべき言葉を探した結果…。 お昼、何食べよっか? 陳腐な...
2月1日は3月並みの陽気だった。 とはいえ、時節柄厚手のコートに、 至るところカイロを貼っているため、 どちらが理由で暑いのか、微妙なところだ。 加えて、保護者がひしめき合っている。 食後のドリンクは、 アイスティーのレモンのチョイスが良さげかな。 確か、次に行く駅から中学...
11時15分、 エンドロールのクレジットが、 流れ初めた。 普段なら絶対映倫のマークが出て消えるまで、 スクリーンを見入っている方だが、 後、20分くらいで子どもが教室から、 出てくる予定だ。 私は急いで荷物をまとめ、 駅までの最短ルートを全力疾走した。 ちなみに我が家は、...
映画館へ到着。 上映する直前にチケット券売機で購入した。 ネットを使わず、 チケットを券売機で、 しかも1人分しか買わないのは、 恐らく、 独身時代にユナイテッド・シネマ金沢の レイトショーで観た 大日本人以来だ。 あの時はあまりに暇すぎて、 1人で車を走らせて、 映画を見...
映画館の前に、 私はある場所へ向かった。 4か月ぶりの都立中志望校に だ。 その際は、出願資料の受取に来た。 なお、最終的な出願数は総勢500人超え。 但し、都立中は毎年出願数を減らしている。 正しくは、 適正値の倍率になっているので、 難しさは変わらないか上がっている。 ...
子どもを見送った私は、 前回と違い、 学校の保護者控室に残る選択をしなかった。 あのときと同じ重たい空気の中で、 3時間待たされるなんて…。 何より、 一度入ったら、 外には出られないというのが、 言語道断だった。 その穴を埋めるために私が向かった先、 それは…映画館(笑)...
私立第一志望正門に8時前に到着。 すごい熱気だ。 校門前から、 先生達が声をからしている。 4科の方は渡り廊下の方にー、 適性検査型でご受験される児童は、 このまま、直進し新校舎へお進みくださいー。 ゆっくり歩きながらで大丈夫ですので、 受験票をカバンから出してください! ...
自宅から私立第一志望までは、 電車を乗り継ぎ40分。 その間、座れるシチュエーションは、 一度もなかった。 ただ、 乗り換えしやすい号車に乗ったため、 一本早い電車に乗継ぎができ、 予定より10分早く学校近くの駅に到着。 そこは、 さながらお祭り状態だった。 歩道に溢れ返...
7時20分、最寄り駅に到着。 途中、 地元にある私立中学の受験に向かうであろう親子とすれ違う。 来るの鬼早じゃねぇ? もしかすると、受験票忘れたのかな? と、子どもはいつもよりお喋りだ。 ちなみに、塾の校長いはく、 受験試験会場にあまりに早く来てはいけない。 (開門までの間...
朝5時起床。 ちなみに、私の睡眠時間は4時間(爆)。 11時に布団に入ったはずが、 全然寝られなかった。 父親は連日、仕事が多忙で休めていない。 どうにか寝坊はするまいと、 スマホのアラームは、 4時台から5分刻みで、 爆音が私の耳元で鳴り響く。 起きてまず、 お味噌用の出...
2024年1月31日(水) 子ども、20時に帰宅。 ちなみにこの日も授業が19時30分まであった。 翌日も翌々日もだ。 帰宅直後、入浴を済ませる。 ちなみに、乾燥肌の我が家では、 冬場は毎日入浴剤を入れている。 今年は、ソフレ濃厚しっとり入浴剤一本だった。 前夜の夕食は、 ...
2024年1月31日(水) この日は、必要な装備品の最終チェックや 準備をして心を落ち着かせた。 既に週明けから、 宅食で食材はまかなっているため、 向かうべきは、ほぼ、ドラッグストア一択だ。 そこは、 スーパー並みに大体のものが揃うので不便はない。しかし、残念ながら、かつ...
2024年1月30日(火) この年は、 例年話題になるような、 猛烈な寒波や積雪といった、 受験生とその家族を悩ませる気象予報にはならないことが分かった。 巷では、 前受から既に6連投のお子さんがいる とのメディア報道もある中、 3日に全て終わらせる。 というのが、...
24年1月29日(月)夜。 今日は、塾の壮行会が開催された。 そのため、やや早めに授業も終った。 我々保護者もZoomで立ち会える。 内心、二月の勝者の激励会と同じシチュエーションにテンションが上がる。 私はさながら佐倉先生だ。 もちろん、保護者であることも忘れない。 とう...
昨日の晩、 嫌なシミュレーションが脳裏をよぎった。 子どもに確認せずに万が一、 学校に、コトの事情を伝え、 仮に、試験が受けられるようになったとして、 めんどくさい家庭だと、 マークされる可能性はなかろうものか。 ましてや、 2日の試験を断られた挙げ句、 マークされたらそ...
子どもとの直前特訓の帰り道、 最寄り駅近くのカフェに入った。 私は、中深のイルガチェフェを、 子どもはブレンドを頼んだ。 最後の直前特訓は、 いつものように添削が無い。 解説を聞いて自分で採点する他に、 帰って単方向授業を見て、 細かな部分も自分で判断する。 1点の大切さを...
僕は予定通り、 先週と同じ時間に時計屋のドアを開けた。 女性店主の姿は見えなかったが、机には、 僕の時計が見違えるほど綺麗な文字盤で、 時を刻んでいた。 ごめんくださーい。 すぐに静寂が広がる。 返事が来ない。 店の扉は開いているので、 営業自体はしているのであろう。 再度...
24年1月2日、 10年振りに、 クローゼットから取り出したアナログ式の時計は、 文字盤が曇り白くなって止まっていた。 最後に時計の電池を交換したのは14年の5月だった。 もう無理かもなぁ。 と、半ば諦めていた際、 子どもが直前特訓へ行っている合間、 町の古びた時計屋のガラ...
今日で、 子どもと日曜朝、enaへ行く生活も終わる。 そして、来週には、 受検生の父親からも卒業する。 思えば、小学校6年間は長い道のりだった。 自分はあまり、 面倒なことには首をツッコまない性分だが、 如何せん、人に頼まれるも断りきれない性格だ。 1年生から手伝い始めたP...
おでんの具材の中で、 奇跡的に大根一本と卵は一パックは、 家の冷蔵庫に入っていた。 私は大根を下ごしらえし、 ゆでた卵の殻をむき、 万能つゆとにんにく、醤油そして、 てんさい糖を混ぜ合わせたタッパに、 ゆっくり浸け置いた。 一定時間で卵の位置をずらし、 均一な色味の味付玉子...
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