【創作話】情動の残滓 ~エモーション・ブローカー~ ④
第四章:魂の反撃 西園寺会長の誕生パーティーの日が迫っていた。橘は、俺の裏切りに激怒し、感情管理局の総力を挙げて俺たちの行方を追っていた。ロストエリアにも、その捜査の手が伸び始めているという情報が入ってきた。 「もう時間がありません。我々は、計画を実行に移します」 レジスタンスのリーダーであるカイトが、重々しく告げた。彼の目は、覚悟を決めた者の光を宿していた。 計画は、西園寺会長のパーティー会場のセキュリティシステムに侵入し、そこから感情売買システムの中枢データベースにアクセスすること。そして、これまで不当に買い取られてきた膨大な量の感情データを、全て解放することだった。 それは、あまりにも危…
2025/06/14 19:00