人間失格

人間失格

何が人間失格だ、あんたはただのナルシストだ。 と、思う時がある。 「恥の多い生涯」として語るその内容、かつて中学生だったわたしが愛読した、その自己憐憫に満ちた形式は、以降わたしの精神的な成長を歓喜することもなかった。 己の恥の部分をちらと見せ、あくまでも他者がこうしただとか、環境はどうだったとか、わざとらしい被害者づらをして、 己がいかに無垢であったかとか、無知だったから起こったとかいう、彼が言う「嘆かわしい災難」も、それは自分が「受け入れざるを得なかった」、被害者なのだと書いている。 長い。そして、痛々しい。 その見苦しさ、浅ましさの表現力は、彼が自ら死んだことと繋がる気が