「荒野に叫ぶ声」雫石とみ著の読後感【読書日記】
戦争ですべてを奪われ、天涯孤独の身で日雇い労働者として働き続けた作家雫石とみ。65歳の時に発表した処女作「荒野に叫ぶ声」には、明治44年宮城県の貧しい農家に生まれ、社会の底辺を這うようにして生きてきた日々が包み隠さず綴られている。昭和62年、とみは「銀の雫文芸賞」という文学賞を創設した。資金は日雇い労働でこつこつ働いて建てた家と土地を売って作った私財2800万円をあてた。「書くことが生きる支えになったから、そういう人を奨励するため」と語る。91歳でなくなるまで埼玉県川口市の六畳一間のアパートでひとりぐらしを続けながら日記をもとに文筆活動を続けた。
2022/05/05 22:45