猫へ

猫へ

あなたと出会ってからちょうど12年経ったね。 初日は新しい環境を怖がって、ベッドの下から出ないまま、一晩過ごしてた。心配になって友人Aにも来てもらい、あの手この手で誘っても、水もごはんも食べてくれなかった。臆病なのに頑固なところは、小さい頃から変わらなかったね。 震災の時には、一緒に怯えながら逃げたね。最初の揺れの後、ベッドの隙間にはまって動かないあなたを見た時には、死んじゃったと思った。生きて、息をしているとわかって、私はすぐに抱き上げて、潰れそうなアパートから連れ出したよね。普段は乗り物が大嫌いなのに、暴れず泣かず、ずっと大人しくしていたね。 病気を機に実家のある北海道に帰る日は、稀に見る…