Lemon
「あなたと一緒にいると、私自身が嫌いになってしまうの…。」そう言って彼女は去っていった。西武池袋線の池袋駅で彼女の後姿をずっと見ていた。本当なら、一緒にそのまま電車に乗っていたはずなのに。彼女は一度も振り返らないまま、そのまま雑踏のなかに消えていった。本当に終わったんだ…。終わってしまったんだ。あれから長い長い月日が流れたが、何で今でも鮮明に覚えているのだろうか?家に帰ってくると、彼女が待っていた。そうか、みんなにも言わなきゃな、またやり直したって。「そうだね。」優しく彼女が言う。他愛もない会話が心地いい。永遠に続けばいい、そう、続くはずなのだ…。今度ばかりは夢じゃない。温かな、穏やかな日常が続いていくのだ…。けたたましく目覚ましが鳴り響く…。…。夢か…。リアルな、そして決してリアルではない夢…。虚しさと脱力感...Lemon
2019/03/27 23:56