北野邦生(きたの・ほうせい)ブログ

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -9-

まっくろけ物語 一幕 登場人物 おゆき（まっくろけ） おつる 老 人 庄 屋 村人たち 子どもたち 時は昔。 緑の草が一面に生えている村はずれの丘の上。 上手に崖、下手手前に小さな池がある。 小鳥の声が、賑やかに聞こえてくる。 「おゆき」という女の子...

2020/07/30 17:32

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -8-

王様の宝物 一幕 出る者 絵かきの少年 王様 大臣 家来1 2 3 4 農夫 農民たち（声） 女の子（客席から） 子どもたち（客席から）1 2 3 4 客席に、劇が始まるアナウンスがあると、幕の前に絵かきの少年が出てくる。 少年：こんにちは。ぼく、絵かき...

2020/07/29 16:48

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -7-

四季の国の大統領 一幕四場 出る者 太陽（女） 北風（男） 春の村人：三月、四月、五月 夏の村人：六月、七月、八月 秋の村人：九月、十月、十一月 冬の村人：十二月、一月、二月 ここは四季の国。春、夏、秋、冬の村があり、 太陽と北風も住んでいる。 ...

2020/07/28 16:49

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -6-

王様の鼻 一幕三場 登場人物 王様 大臣 家来1、2、3 楽隊 観衆 医者 一場 舞台は王様の部屋。 王様は、椅子に腰掛けたまま、家来たちに自分の鼻の化粧をさせている。 家来1と2は、化粧道具を持って王様の両側に立ち、家来3は、大きな鏡を支えて王様...

2020/07/23 06:02

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -5-

大人になったら 一幕三場 ＜出る者＞ 警察官 コメディアン デザイナー 建築家 パイロット バスガイド コック ドライバー ウエートレス 大工 美容 保母 看護師 商店 スチュワーデス （右の職業を希望する六年生の男女児童） 担任の先生 男の声...

2020/07/22 10:16

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -4-

 ロボットがほしい 一幕 出るもの 五郎（小学校四年） 五郎の母 ロボ1、2、3、4、5、6、7、 8、9、10、11、12、13、14号 五郎が、茶の間の小さな机に向かって、勉強をしている。 五郎：ええと、「T小学校の四年生は六十三人です。一...

2020/07/20 18:22

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -3-

つばくろのぼうけん（放送劇） でてくるもの つばくろぼうや おとうとつばめ いもうとつばめ ひばりのおじさん からすのおばちゃん のらいぬ ＊そよかぜとことりのさえずり。 ＊つばめのなきこえ。 つばくろぼうや：みなさん、こんにちは。ぼく、いなかにすんでいる、つば...

2020/07/18 05:57

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -2-

イソップのおしばい  一幕四場 でてくるもの イソップおじさん キツネ1、2、3、4 いど カエル1、2、3 ライオン めうし1、2、3 しろいカラス ハト1、2、3、4 カラス1、2、3 イソップ：やあ、こんにちは。だれでもしってるイソップおじさんだよ。...

2020/07/17 10:14

北野邦生 戯曲集「脱走」他12篇 -1-

ばいきんのうた 一まく三ば でてくるもの せつめいやく ばいきん1、2、3、4、5、6、7 げきをするばしょ たいいくかんやきょうしつなど、みんながあ つまれるところ ＊せつめいやくがでてくる。 みなさん、ぐずついたうっとうしいひがつづいていますね。それもそのはず...

2020/07/15 15:43

北野邦生歌集「人間模様」-3-

蟻と蜂ビルの谷間で蠢（うごめ）くがなぜか下向き無言が多い あいづちを犬が打ってる長話よくよく見ればこっくりしてる しきたりに泣いた日もある母の過去忘れはしない清き涙を 死んでから点数くれる日本人生きてるうちに何故評価せぬ 春は未だ呼びに来ないか眠り猫寝てても恋は歩いてこない...

2020/07/14 17:18

北野邦生歌集「人間模様」-2-

仁の書が診察室にある安堵世に様々な医師など居れば 天に月地にほろ酔いがいる平和切り裂く武器を許してならぬ 下心隠して腰を深く曲げ相手持ち上げそのまま落とす 朝刊で子の運勢を確かめる特に「愛情・健康」面を 独居でも孤独ではない高齢者に鴉も一声掛けて飛び立つ 立ち話犬は地べたで...

2020/07/13 20:25

北野邦生歌集「人間模様」-1-

子育てを動物園で教えられママ友たちは我が家へ急ぐ 教室の広さ淋しい春休み一人ひとりの机を撫でる 呼吸する土を五感で確かめて五粒の種を愛しく寝かす 激論のコップの泡が溢れ出すどうでもいいさ早く飲めよと 階段を昇り降りする子の様子初恋に惑う芝居にも見えて 口挟む余地を与えぬ三姉...

2020/07/12 05:15

和英翻訳川柳：北野邦生著-3-

半分は犬が主人を散歩させ In the truth, the dog is a master. This is a true dog-walking. 誰とでも話したくなる春の街 I come to want to speak with whom. Because spri...

2020/07/11 14:14

和英翻訳川柳：北野邦生著-2-

is on the ground. It is peaceful. 胸の奥ジキル・ハイドが同居する Dr.Jekyll and Mr.Hyde lives in the interior of the chest. 象の目の涙の訳も知らないで Everyone doesn'...

2020/07/10 17:28

和英翻訳川柳：北野邦生著-1-

＜私の川柳＞ ＜My Senryu＞                               完璧な五本の指の間柄 Five fingers are perfect relations. 躍進の日を信じてる蝸牛 The snail believes the day of...

2020/07/09 16:56

北野邦生川柳句集「独り言」＜親＞-3-

親からは反対だけの僕の夢 飴玉を口に船漕ぐ父の春 帰省する部屋に野の花いけておく 両親は夢を見るなと言ってたが 親の亡いふるさと異国だと思う      ＜お断り＞ 本文の掲載はここまでにさせて戴きます。関連書籍（電子書籍も含む）ご案内は、次のサイトをご参照下さい。 北の星...

2020/07/09 16:46

北野邦生川柳句集「独り言」＜親＞-2-

親心仕分けしてみりゃエゴばかり 巣立ちゆく子の部屋に飼う青い鳥 地図ひろげ親子の距離を確かめる 左手に子ども右手にスマホ抱く 子と語る時を待ってる万歩計 まっすぐな道見当たらぬ父の地図 親と子の足音までが同じとは 息子には親の元気を投資する 会社生む息子夫婦に書く色紙 子の...

2020/07/08 16:51

北野邦生川柳句集「独り言」-1-

親 子に道を強いる親にはなるまいと 産声と五体確かめ泣き笑い 嘘を言うときの親父の赤ら顔 園児バス送迎族の喧噪さ 子にだけは生きる掟を教えとく 親の座が大きく揺れる子の主張 お母さん見知らぬ人は不審者か 門出する子に贈りたい地図を書く 夢見るなと勘当された二年間 子が...

2020/07/08 07:19

北野邦生の【川柳作句添削例集】-3-

□デジカメのブレた分まで画素のせい ※繋がりを滑らかにする順序の工夫 ○デジカメのブレまで画素のせいにする □望みなく読む川柳情けなく ※中七の字足らずを解決するための工夫 ○望みなく詠む五七五の情けなさ □運勢は望み叶うと書いてある ※上五の助詞を工夫して全体を整える ○...

2020/07/07 20:25

北野邦生の【川柳作句添削例集】-2-

□美味い店常連さんで長い列 ※理由の説明にならない助詞を選ぶ ○美味い店常連さんの長い列 □紅葉狩りこんなに空が青かった ※「こんなに」に繋がる下五の工夫 ○紅葉狩りこんなに空が青いとは □二の舞を踏みたくなくて立ち止る ※送り仮名と句を落ち着かせる工夫 ○二の舞いは踏みた...

2020/07/06 07:12

北野邦生の【川柳作句添削例集】-1-

□老いる程募る思いの望郷心 ※中七と下五の意味の重複を避ける ○老いるほど募る思いは古里へ □夢と希望毎日く祈っています ※中七と下五の字余りを解決する ○夢叶い希望が持てる日を祈る □私には元気が一番二がお金 ※字余りとリズムの工夫が必要 ○私には元気一番カネ二番 □知り...

2020/07/05 10:58

北野邦生の【川柳作句入門講座】-3-

 ■ 川柳は「十七音の文芸」 川柳は「十七文字」か「十七字」または「十七音字」の文芸かということについてなのですが、「十七文字」「十七字」「十七音字」も川柳に関する既刊の書には出ています。しかし、何れにも納得できない私は、教師時代に「川柳は『十七音』の文芸」であると指導し...

2020/07/05 07:02

北野邦生の【川柳作句入門講座】-2-

三、川柳作句の基本的な心得 ■ 文芸としての本格川柳 今の日本には、内容や形の上で色々なタイプの川柳が見受けられるようですが、この本で学ぼうとする川柳は、「短詩型文芸」としての川柳であり、「お遊び的な川柳」と区別して「本格川柳」と言える「文芸」であることを心しておいていた...

2020/07/04 20:50

北野邦生の【川柳作句入門講座】-1-

一、 はじめに ■ 川柳文芸の発祥 そもそも川柳文芸の発祥は…といっても、歴史的に深入りする必要はありませんから簡単に説明します。 今のように「川柳」と呼ばれるようになったのは明治になってからで、江戸時代には「前句付(まえくづけ)」と呼ばれていました。 前句付の「前...

2020/07/04 15:33