壁①
気怠い朝日。窓から射し込むオレンジ色の光が網膜を刺激する。目がくらんで頭の芯がじんと痛む。痛みで目が覚めそうになるが、身体はそれを良しとしない。 ふたたび目を開けた時には、白く濁った青が掃き出し窓の向こうに広がっている。一つ舌打ちをして、渋々布団から身体を引きずり出す。 ふらふらとした足取りで洗面所に向かう。途中灰皿を蹴飛ばしてしまったが、その処理はまたの機会にする。辿り着いた洗面所の床は黒く変色して、元は何色だったのか今ではわからない。鏡は酒に酔った拳で割ってしまったので、蜘蛛の巣状にひび割れてしまっている。蛇口をひねり、まだすっきりとしない頭に冷水をぶっかける。脳天から顔に滴る水は息が詰ま…
2019/06/20 08:54