【緋色の欠片】ババ様と珠紀ちゃん、玉依姫についてのお話。
・・・・・・私は、静かに目の前に座る人を見つめる。 宇賀谷静紀。私の、おばあちゃん。 おばあちゃんはこちらをちらりと見て、一度だけ優しく微笑むと 後はずっと静かに何かの古い本に目を落としていた。 少し、緊張していた。 おばあちゃんは、記憶にあるよりずいぶん、痩せて 小さくなってしまったように思えた。 思い出の中にいるおばあちゃんはいつも優しくて、静かで たくさんのおまじないや、昔話を教えてくれた人だった。 私が空想の友達と遊んできたと言うと、ちょっと笑って、 それは、ナントカさんだよ、とか そういうことを言っていた気がする。 でも、目の前のこの人は、なんだか別人のように思えた。 表情は微笑んで…
2019/08/14 23:24