生殖・検査・中絶・出産・養育・虐待の倫理

生殖・検査・中絶・出産・養育・虐待の倫理

女性の中絶の権利を認めたロー対ウェイド判決を米連邦最高裁が覆した時、私は驚愕するとともに地獄の釜が開いたと感じた。 先に申し上げておくと、米国で妊娠中の女性は目下悠長な議論どころではない状況だと認識している。立場に関わらず、何よりも優先して彼女らの安全と健康の確保がされるべき時だと思う。 結論から言えば私はいわゆるプロチョイス(中絶容認派)の考えのほうに近い。その理由は後述するとして、私はプロライフ/プロチョイスという二者択一の政治闘争からは少し距離を置こうと思う。むしろ生殖を巡る様々な思想(当然上記2つも含むが)について「誰を主語に論じているのか」を具に見ていきたいのだ。 私も(遺伝性でこそ…