父の問いかけ
母が車で芦屋駅まで迎えに来てくれるのはいつものことであったが、時折父の帰りと重なると、駅でじっと母の車を待てない、せっかちな父は、帰る方向へ向かって歩き出し、途中で母の車を見つけるのが日常だった。どうせ、駅まで迎えに来てくれるのに、逸れたら余計な時間がかかるのではないかと初めは心配であったが、母も同様に気遣っていた。途中の歩道で私たちを拾ってくれることが常だった。ある日、父は私に歩きながら尋ねてきた。「コウスケの学校で誰が一番成績がいいのか。」と、突然聞いてきた。他人の名前を言っていると、父は続けた。「どうして自分だと言えないのか?」と、私は言葉に詰まったが、答えを模索しているうちに母の車が現れた。その後、頑張ってクラスでトップになった。母は非常に喜んでいたようだが、父とそのことについて話すことはなかった...父の問いかけ
2023/09/30 14:13