*五匹の子豚*

アガサ・クリスティ「五匹の子豚」読了解説でミステリ評論家の方がこの作品を好む相手を見つけたら相手の「クリスティ達人度」を文句なしに認めることにしている、と。ある女性から自分が結婚するにあたり過去に起きた出来事有名な画家だった父を母が殺したとして逮捕、起訴

*長いお別れ*

中島京子さん「長いお別れ」読了認知症のことを「ロング・グッドバイ」少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていくから長いお別れと呼ぶんだよ、というエピソードから来ているのだろうタイトル東家の父親昇平は学校の校長や図書館長も務めた威厳のある存在だっ

*愛が理由*

矢口敦子さん「愛が理由」読了主人公の麻子は39歳翻訳の仕事をしながら一人暮らしすぐ近くには高校時代から仲良しの美佐子が夫と暮らしていて美佐子が突然若々しく美しくなったことを訝しんでいた時突然の美佐子の訃報がそれも、炭火による一酸化炭素中毒だった─警察では、

*イン・ザ・ヘブン*

新井素子さん「イン・ザ・ヘブン」読了10編の短編集とテトラポットの縫いぐるみについてのエッセイとそれから、あとがき新井素子さんの作品を読むと、文体が移ってしまうんだけれどこれ、これすっごく、面白かった、のだ。なんて。コバルト時代の作風に近いなぁってそんな新

*あられもない祈り*

島本理生さん「あられもない祈り」読了お金の無心をしてくる母親酔うと暴力的になる同棲相手直樹どちらも切り捨てられないまま手首にはうっすら赤い線が増えていくそんな中「あなた」と出逢った「私」─他の登場人物には名前があるのに「あなた」と「私」だけは名前がなく「

*永遠とか純愛とか絶対とか*

岩井志麻子さん「永遠とか純愛とか絶対とか」読了8編からなる短編集男性は日本人で女性は風俗で働く東南アジア系という組み合わせの様々地元でいろいろ拗らせて都会に出てきたり地元ではそこそこイケてるはずだったのに都会に来てみたら埋もれてしまったりそんな男性たちがあ

*鳩のなかの猫*

アガサ・クリスティー「鳩のなかの猫」読了中東の小国ラマット国で革命が起き脱出しようとした若き族長アリ・ユースフと彼のパイロット、ボブ・ローリンスンは墜落事故で落命する生前アリがローリンスンに託し彼が密かに隠した約1億5000万円もの宝石は行方知れずに一方でイギ

*過ぎ去りし王国の城*

宮部みゆきさん「過ぎ去りし王国の城」読了推薦で一足先に高校進学が決まった尾垣真母親に頼まれて行った銀行の壁に引き込まれるような魅入られるような古城のデッサンを見つけたまたま壁から剥がれ、床に落ち通りがかりの男性に踏まれたそのデッサンを思わず持ち帰ってしま