映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』感想&あらすじ/主役の熱演がこの映画のすべてです ★3.8
2017年 原題:Darkest Hour もっとも暗い時が夜明けの始まり、ということわざがあるようです。ゲイリー・オールドマンの見事な変身ぶり、スタイリッシュで陰影の美しい画面、たたみかけるスピーディな展開で、格調高い戦争映画となっています。しかしもはや第二次世界大戦は遠い昔の話ですね。 あらすじ ナチスドイツによってフランスが陥落寸前の1940年5月、イギリス本土にもナチスの侵略の脅威が迫っていた。首相に指名されたチャーチルは、議会では四面楚歌、国王にも信頼を得られていなかった。 さらにフランスのダンケルクでドイツ軍に包囲されたイギリス軍の撤退をめぐり、戦時内閣は紛糾。ヒトラーとの和平交渉を主張する対立議員の意見に内閣は傾いていくが、チャーチルはヒトラーとの和平などまったく考えることはできなかった。 感想 ゲイリー・オールドマンはこの作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。確かにものすごい熱演です。チャーチルが和平ではなくナチスドイツとの徹底抗戦をすべきだと説く大演説のシーンは圧巻です。 また完璧な特殊メイクを施した、日本人メイクアップアーチストの辻さんらがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。 こんなに戦争のことを、きれいな画面で描いていいのかな、と思うぐらい、戦闘シーンが最小限な映画。ただ、チャーチルの人間性はよーく伝わってきます。 ほんとによく研究していて、歩き方や話し方、葉巻の吸い方やニコッと笑う口元とか、おそらく現存する動画をものすごく見て研究したんだろうなと伝わってきます。この熱意がセリフにも反映し、演説がこちらの胸にも響いてきました。演技賞を取る演技というのは、まさにこのようなものだ、というバイブルのようです。 連合国を勝利に導いたのはチャーチルの決断だ、というように描かれていますが、当時実際にそうだったかどうかは別として、映画として盛り上げ方がたいへんうまく、こちらもイギリス国民になったように、なんだか興奮してくるから不思議です。 この映画を見てから、「ダンケルク」を見るんだったなあ、と思います。カレーという都市がどんな意味を持つのか。ダンケルクの撤退とはいったいなんだったのか、ようやくわかりました。 ただひとつ、国王がチャーチルの意見に傾いていくプロセスが不鮮明です。実際によくわからないのでしょうが、
2019/01/30 23:12