100分de名著テキスト《モンゴメリ『赤毛のアン』》読了
著者は大学院生の時にはじめてプリンス・エドワード島を訪れる。その時実感したのは、「アン・シャーリーはいないよなぁ」という事実だったという。長年の憧れの場所だし、グリン・ゲイブルスも「恋人の小径」も「輝く湖水」もある。本当に美しく、いいところなのだが、それでもやはり『赤毛のアン』の世界は作者モンゴメリの想像力がつくり出した世界なのだということが、そこではっきりわかったというのである。自分は行ってみもしないが、プリンス・エドワード島の写真集を眺めた経験だけからしても、それはそうなのかもしれないなあと頷かされた。これは逆にいうと、想像力の世界の豊かさを語ってもいるのだから、がっかりするような話ではないのである。
2018/11/29 05:00