ゾッとする話し~蜘蛛~
それはある雨の晩。 時刻は午後八時、その日も仕事を終えてこれから家に帰ろうという頃である。 職場から家までは電車を使い片道およそ一時間半。 電車を降りてから自宅まではほんの数分の距離であったが、この日一日中降り続いている雨は弱まる気配を見せない。 傘を差さないとだめか。 たった数分の為に傘を広げ、腕に持ち、歩き続けなければいけないストレスを感じながら、それでもこの雨では仕方がないと諦め歩き始める。 黒い傘はコンビニやバーなどが並ぶ小道を通り抜け、横断歩道を渡り、八百屋を通り過ぎる。すると徐々に家が見えてくる。 狭い砂利道に建つ家の前にたどり着き、玄関を開けようとジーンズから鍵を取り出した時であ…
2018/09/30 12:45