失われた真理(ゆめ)を求めて
真実を求め、真理に至ろうとする者は少ない。 虚飾にまみれた現世にうずもれているほうが安心だからだ。 ところがどっこい、虚飾の中で本当の安心は得られない。虚飾はしょせん虚飾にすぎず、そこに真実はない。 しかしまた、真理に至ろうとする者も虚飾にまみれざるを得ない。そのような欲求は、そこそこ大きな挫折を経験し、そこそこ重度に人生をこじらせていないと生まれてこない。現実に辟易し、認知が歪められているからこそ、真理などという妄想にむしばまれるのである。その点で、俗世間の富や名声を求める欲求と、真理を求める欲求に大した違いはない。 ところがここにある種のパラドクスじみたものがある。現実社会の毒を拒絶し、妄…
2024/12/18 17:02