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熊野まゆ
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2014/04/10

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  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章06

    サディアスが深呼吸をしたのがわかった。雄棒を雌口に押し当てられる。 彼の肉竿が沈んだ直後は、痛みはなかった。 圧倒的な存在感を放ちながら、サディアスの肉茎が初々しい隘路を拓いていく。 「——っ!!」 その瞬間は突如としてやってきた。 強烈な痛みが脳天を突き抜け、手足の先までその痛みを伝える。痛覚が涙腺を刺激して、目から水粒があふれる。堪えようと思っても、涙を抑えることができなかった…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章05

    「ふ、あぁ——ん、うぅ……っ!」 湿潤な媚肉の行き止まりを、グルグルと円を描くようにしてかきまわされる。ぐちゅ、ぐちゅっと聞きなれない水音が立つ。 「きみのなかはよく潤んでいると思うが——」 不意にサディアスが言葉を発した。アリアの太ももをつかんで押し開く。 「破瓜の痛みが少しでも軽くなるよう、もっと濡らしておかなければ」 そう言い終わる頃には彼はアリアの脚の付け根の前に顔を…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章04

    「あ、くすぐったい……っ、です」 「んん」 サディアスはふたたび舌をのぞかせて、アリアのふくらみに頬ずりをしながら、先ほど舐めたのとは別の、乾いているほうを舌先でつつく。 「はぅ、う……んん」 じっくりと舐≪ねぶ≫られると、素早くそうされるときとはまた違った——じれったい快さに苛まれる。 彼の唾液に濡れていた左側の屹立を二本の指で挟まれ、その中心をグニグニと押し込まれる。 アリ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章03

    上半身が自然と傾いて、ベッドに仰向けになる。サディアスはアリアの胸を揉み込みながら覆いかぶさり、首筋をきつく吸い立てて所有の印をつけた。 チロチロと肌を舐めながらふくらみのほうへ下りていき、薄桃色の玉を口に含む。 「んぁっ!」 アリアの全身が飛び跳ねても、サディアスは構わずつぼみを舐めしゃぶる。 ちゅうっと音が立つほどに吸われると、触れられていないほうのいただきもツンと尖るので世話…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章02

    サディアスがベッド端に腰掛けたので、アリアはその隣に並んで座った。 「博愛主義を貫かねば、と思っていたが」 唐突にサディアスが話しだす。 「口うるさくそう言う者たちはもう、いなくなっていた。幼少期の刷り込みにこだわっていた己が馬鹿らしい」 サディアスは自身の膝に片肘をついてうなだれ、手のひらで顔の半分を覆ってちらりとアリアを見やる。 「そのことに気がついていれば、きみともっと早…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 終章01

    メイドたちに「これがなんに見える?」と訊いても「ブタ」や「イヌ」と言われ続けてきたが、ようやく、だれに訊いても「ネコ」だと言ってもらえるようになった。 真っ白なハンカチの片隅に黄色い糸で刺繍した模様をアリアはあらゆる角度から確認した。 (うん、大丈夫!) これならどこからどう見ても、猫だと認識できる。豚や犬だとは言われまい。 (いつお渡ししよう……?) アリアは刺繍したハンカチ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第四章03

    湖のほうばかり眺めていたせいで、その人がすぐうしろに来ていたことにまったく気がつかなかった。 ドンッ、と痛いくらいに背中を押されてふらつく。 両足は自分自身を支えきれず、斜め前へと倒れ込み、湖のなかへ落ちた。 溺れるというような事態に陥らなかったのは、湖畔は底が見えるほど浅いおかげだ。 「つめたくて気持ちがいいでしょう?」 高らかな声が頭上から降ってくる。 シンディはアリアを見…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第四章02

    ロイドの眉間に皺≪しわ≫が寄る。そのいっぽうで、シンディの顔は真っ青になった。ルークはというと、信じられないというような目でシンディを見ている。 「ルーク殿もシンディ様とご関係がおありでしょう? そうでなければ、僕の不在の隙をついてアリアを伯爵領に送り、手筈≪てはず≫よく迎え入れるというような愚行は成立しない」 厳めしい形相でパトリックが言及すると、ルークはすぐに「おっしゃる通りです」…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第四章01

    城の舞踏会でサディアスと踊ったあと、アリアには常に護衛が付くこととなった。 サディアスは単独行動をしていることが多いが、王族ならば本来、常に複数の護衛が付くものらしい。 サディアスとパトリックはメディエッサとの交易に向けて日夜を問わず執務と調整に励んだ。その甲斐あって、医学大国メディエッサから一定量の人材を確保することに成功する。 メディエッサから医者を呼び寄せて一ヶ月が経つと、ロイド…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章10

    軽快なワルツに合わせてくるりくるりと回る。流れる景色のなかでサディアスだけはずっとそこにいて、力強く腰を抱いてくれる。 (不思議……) うまく踊れるだろうかとあれほど悩んで尻込みしていたのに、どうしてかスムーズにステップを踏むことができている。 氷の王子はダンスが下手でだれの手も取らないのではないかとまことしやかに囁かれていたが、その噂は、だれもが見惚れるようなふたりの優美なダンスに…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章09

    舞踏会当日。 クリスタルモチーフのドレスは身に着けているだけで人目を引く。 「ねえ……両手と両足が同時に前へ出ていない?」 城のダンス・ホールに入る直前だった。バーサに指摘され、アリアは「うぇっ!?」と奇怪な声を上げる。 「なあに、そのおかしな声。アリア、あなた緊張しすぎよ。そんなことで殿下と踊れるの?」 「で、殿下と踊るかどうか……まだ、わからないわ」 ふだん彼はホールの高いと…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章08

    行動を起こさないアリアを見てサディアスはそれを彼女の同意と捉えて、秘芯にふたたび指をあてがった。蜜のあふれ口をまさぐった指だ。ぬめり気を帯びた指先が敏感な肉粒をすりすりと擦る。 「あ、あぁっ……んぅっ……!」 頭のなかが真っ白になった。快感以外の感情が一瞬で排除されてしまったようにも思えてくる。それくらい気持ちがよくて——ほかのことを考えている余地がない。 「アリア? まだ……『だめ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章07

    「あっ……!」 恥丘に指が当たると、そのすぐ下がドクンッと脈づいた。 サディアスの指が秘裂をそっと撫で上げる。 アリアは血相を変えてそこを手で押さえ、横向きになって背を丸めた。 「ゃっ……だめ、です……! そこ、は」 ——だって、さっきからなんだかおかしいんだもの。 独立した器官のようにトクトクとひとりでに脈づいているし、なにかよくわからないものがそこからあふれ出してきている…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章06

    官能的な悦びが、脚の付け根の秘された箇所を核にしてじわりじわりと広がっていき、手足の先を甘くしびれさせる。 口を覆う手に力が入らなくなった。サディアスは容赦なく胸飾りを指でこね、もう片方の尖りを舌でなぶる。 ふとアリアは太ももになにかが押し当てられていることに気がついた。 「あ……サディアス、様……? なにか、当たって——」 口に手を添えたままモゴモゴと問いかけたものの、すぐにある…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章05

    (私ったら……サディアス様に全身を見られたいの?) そうだとしたら、なんてはしたないのだろう。 「アリア」 名を呼ばれるたびに理性が揺らぐ。彼の望むまま、手をどけてもよいのではないかと思えてくる。 アリアの両手から力が抜けたのをいいことに、サディアスはネグリジェとシュミーズを首の下まで一気にめくり上げた。 「……っ、ぁ」 ふたつのふくらみが彼の目に留まる。 見られていると…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章04

    アリアは意を決し、アイスブルーの瞳を見据える。 「私っ……、この先ずっと……サディアス様のおそばにいたいです。サディアス様のことが、大好きだから……!」 心臓がドクドクと鳴り、胸の前で作ったこぶしのなかには汗をかいた。呼吸がままならない。緊張と不安で胸が押しつぶされそうだった。 ——サディアス様は私の告白をどうお考えになっただろう? わがままを言っている、と迷惑がられるだろうか。 …

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章03

    「コホン」 パトリックがわざとらしく咳払いをした。 アリアとサディアスはギクリとして顔を見合わせたあと、そっと離れる。 「あ——お兄様、申し訳ございません……。レヴィン伯爵から何らかの抗議があるかもしれません」 「いい、気にするな。そのときは僕が何とかする。そもそも、おまえがレヴィン伯爵に嫁ぐなどだれも認めていない。ねえ、殿下」 「まったくだ。よりによってレヴィン伯爵とは——悪質にも…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章02

    「でもね、アリア。殿下のことを狙っている女性はたくさんいると思うの。アリアは殿下とどうなりたいの?」 向かいのソファに座るバーサに見つめられる。 サディアスのことを頭のなかに思い描くと、心臓の脈動が強くなった。そういうふうに感じた。 「サディアス様のことが好き。できるなら、結婚したい」 バーサはわざとらしく「ええっ?」と訊き返す。 「できるなら、で……いいの?」 彼女はとき…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第三章01

    野菜を売りながら王都へ着く頃にはすっかり陽が暮れていた。 人生ではじめての野菜売りは楽しかったが、板張りで揺れの激しい荷台での旅路は思いのほか辛く、お尻が痛んで仕方がなかった。 アリアは汚れたドレスの尻をさすりながら歩き、リトルフ侯爵邸を訪ねる。 自邸には帰れない。兄のパトリックが不在のいま、邸へ戻ったところでレヴィン伯爵のもとへ送り返されてしまうに違いない。 「夜分にごめんなさい……

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章06

    ——だめだ。なにを言っても聞き入れてもらえそうにない。 アリアは頭を抱えてへなへなとソファに座り込んだ。 メイドたちが「お加減が優れませんか」と声を掛けてくれる。 「平気よ、ありがとう。あの……伯爵様は、もしかして……」 「はい。好色でいらっしゃいます」 彼女たちの主だというのにずいぶんはっきりと言うものだ。よほどひどい女好きなのだろう。そしてそのことを、メイドたちはよく思っていな…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章05

    それに、帰りたくても手段がない。王都まで歩いていたら何日かかるかわからないし、馬車を使おうにも手持ちの金がない。 (伯爵は、執務が立て込んでいると言っていたわね……) このぶんでは今日じゅうに王とへ帰るのは難しそうだ。 陽が暮れた頃、レヴィン伯爵が部屋を訪ねてきた。 「ようこそ我が邸へ、レディ・ロイド。挨拶が遅れて済まなかった」 レヴィン伯爵は想像していたよりも若々しい男性だっ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章04

    「そのようなお話は一度も聞いたことがありません。なにかの間違いではありませんか」 アリアは毅然として言ったが、ルークは少しも怯まない。まるで、アリアのその発言を予期していたようだった。 「レディ・ロイドのお耳には届いていなかったようですが、そうなのです。さあ、お部屋にご案内いたします」 ルークは素知らぬ顔で階段を上りはじめる。 「お待ちください。このことを、私の父は知っているので…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章03

    いま雨音は聞こえない。止んだのか、あるいは雨の降っていない遥か遠くまで来たというだけなのかもしれない。 (私、どうなるの? どこかの山に捨てられるのかしら……) あるいは海に投げ入れられるのかもしれない。 そんな想像をすると、蒸して暑いくらいの馬車内だというのにゾッとして身が震えた。馬車のなかが薄暗いせいもあって、そういう嫌な想像ばかりしてしまう。 馬の蹄と車輪の音が幾分か静かにな…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章02

    「ふふ……やっぱり、ひとりで来たわね」 ふだんはとても目立つ色のドレスを着ているシンディだが、今日はどうしてか暗い色合いのものだった。雨で陽射しはないというのに帽子を被っている。遠くから見れば彼女がシンディだとはだれも気がつかないかもしれない。 シンディは冷笑を浮かべ、階段の上からこちらを見下ろしている。彼女がゆっくりと下りてくる。 「乗りなさい」 「えっ?」 腕をつかまれ、無理…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第二章01

    「明日からメディエッサに、ですか?」 朝食の席でアリアは兄のパトリックに尋ね返した。 「ああ、そうだ。明日から一週間ほど、サディアス殿下と一緒に行ってくる。おまえがメディエッサ国のことを知っていたとは驚きだ。殿下から聞いたのか?」 「はい。薬草が豊富で、そのぶん有識者も多いのだとお聞きしました」 長机の向こうにいるパトリックはおもむろにうなずいた。 「今回の国家間交渉は父のことを…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章11

    「あっ、あぁ……!」 胸を見られるだけでも恥ずかしいと思っていたのに、そこを両手でまさぐられて高い声を上げている自分が信じられない。羞恥心はいったいどこへ行ってしまったのだろう。 アリアが下を向いてキュッと下唇を噛むと、サディアスは心配そうに眉尻を下げて「どうした?」と尋ねた。 「わ、私……どうしてしまったのだろう、と……」 「なにか、おかしいのか?」 「だって、私……サディアス様に…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章10

    アリアの豊かなふくらみの先が尖ってくる。そのようすをサディアスは興味深そうにしげしげと眺めていた。 彼の両手が腕を這い上がって肩まで動き、そのあとは柔らかな双乳へ向かって下りていく。 「もう、ずっと……きみに触れたくて仕方がなかった」 心なしか彼の呼吸が荒い。 「きみの……ドレスに隠されている部分はどうなっているのだろうかと、そんなことばかり——ああ、いや……こんなこと、言うつもり…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章09

    とたんに、物憂げだったサディアスの表情が晴れやかなものに変わった。 「でも、全身——は、ちょっと……」 釘を刺しても、サディアスは嬉しそうなままだった。 「では、どこまでならいい?」 微笑みをたたえて、サディアスはアリアの耳や首、鎖骨を撫でたどり、彼の両手は下方へ向かう。 「……ここは?」 ドレスの胸もと、ふくらんでいる部分を手のひらで覆われた。 「っ……!」 アリア…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章08

    「きみに、堂々と話しかけることもできない己が不甲斐ない……」 ——でもそれはきっと、私のため。妬み嫉みの的になるから。 「このままではいけないと、思っている。きみはもう……年頃だ」 頬ずりをされ、触れ合う肌が熱を持つ。 「近いうちに必ず事を起こす。待っていてくれ」 耳もとで、吐息まじりの低い声を紡がれた。脇腹のあたりがぞくぞくっと戦慄≪わなな≫き、またしても下半身に熱溜≪ねつ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章07

    「本当、サディアス殿下は今夜も氷のごとく冷ややかね」 「バーサ! 来ていたのね」 アリアは声がしたほうを振り向く。 リトルフ侯爵令嬢、バーサは幼い頃からの気の置けない友人だ。舞踏会だけでなく茶会でもたびたび顔を合わせる。 バーサは扇で口もとを隠しながら小さな声でアリアに言う。 「でも、アリアの前では違うのでしょう?」 「う——……ん、もぅ……! バーサったら、からかわないで」 …

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章06

    シンディは「はぁ」と、わざとらしいまでの大きなため息をついてアリアを見据える。 「ねえ、アリア。あなたが王太子殿下と懇意にしているってうわさを小耳に挟んだのだけれど、本当?」 ドクンッと不穏に胸が鳴る。握りこぶしのなかにまで汗をかいた。 アリアは笑顔のまま首を傾げる。質問には答えない。答えられない。 「あなたはすぐ、そうやって……笑顔でごまかすんだから」 眉をひそめてシンディは…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章05

    いまにも雨が降り出しそうなどんよりとした暗雲が広がるある日、アリアは公爵本邸の応接室にいた。 (お話って……なにかしら) 継母のシンディに「話があるからすぐに会いたい」と言われて応接室で彼女を待ちはじめて三十分ほどが経った。 シンディが自分に会いたがっていることはメイドを通して聞いた。つい一時間ほど前のことだ。 (私と会う約束を忘れてしまった……わけではないだろうし) だとすれ…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章04

    アリアは彼の意図を読み取ることができず、目をつむるしかなかった。 (ずっと見つめていたら、四六時中サディアス様のことばかり考えるようになってしまいそう) それでなくても、気がつけば彼の姿が頭のなかに浮かんでいる。ここ最近はずっとそうなのだ。 きっと、以前にも増して彼がこの部屋を訪ねるようになったせい。手を握ったり、ときには抱きしめられたりする機会が増えたせい——。 まぶたを震わせて…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章03

    「私に差し上げられるものでしたら、なんでもお渡しいたします」 彼がなにを欲しているのか見当もつかなかった。それでもアリアはふたつ返事をした。サディアスに誠心誠意、応えたいと思った。 彼の手がおもむろに動く。ごつごつとした細長い指先が、唇に触れるか触れないかのところをすうっとたどった。 「きみの、唇」 アリアはきょとんとして、何度も瞬きをする。 唇は取り外せない。どうやって渡せば…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章02

    「……だが、ほどほどにな」 包帯だらけのアリアの指をサディアスはそっと覆って撫でたどった。 「は、はい」 膝の上に置いていた両手に大きな手のひらを重ねられ、とたんに心拍数が上がる。 (サディアス様の手……温かい) 彼の手の温もりが心のなかにまでじわりじわりと伝い広がるようだった。 こうしてふたりきりでいると落ち着くけれど、体の距離が近かったり手を触れ合わせたりしていると、胸…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 第一章01

    常に笑顔を絶やしてはいけないと、母は言っていた。 湖上の城の目と鼻の先にロイド公爵邸はある。 クーデルライト城に面する湖と同じ岸に建つ公爵邸は二年前に別棟が増築され、ロイド公爵とその夫人——後妻のシンディ——はそちら側に住んでいる。 食事のときはたいていひとりだが、兄のパトリックが邸にいれば、彼とふたりで食卓を囲む。朝食は兄とともに取ることが多い。 「今日は殿下がいらっしゃるよ」…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 序章04

    サディアスとアリアが密かに逢瀬を重ねるようになって一年が過ぎた。 城仕えをするパトリックや、ロイド公爵に会ったあとは必ずアリアの部屋を訪ね、いろいろな話をした。仕事でパトリックたちを訪ねるというよりも、アリアに会うことが目的の日も多々あった。 サディアスはいつものように、パトリックと二言、三言話をしたあとでアリアのもとへ向かった。 (出先から戻ってきたばかりと言っていたが——) 外…

  • 氷の王子は端の微笑みに弱い 序章03

    「俺は『氷の王子』などと呼ばれているようだが、それはそういうふうに装っているだけだ。王族は、なにかに執着してはいけないらしいから……」 「そうなのですか。それは……おつらいことかとお察しいたします。……私は、執着してばかりです」 「きみはなにに執着しているんだ?」 「母の遺言です」 少女の口から出た言葉にサディアスは思わずドキリとした。 (そうだ、パトリックはたしか……母を亡くしたばか…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 序章02

    (やはり聞かれていた……!) 顔を青くしているアリアとは正反対に、サディアスの頬は瞬く間に赤くなった。 「いや、待て。せっかくだ、少し話をしよう」 「……よろしいのですか?」 「ああ。きみは優秀な我が友、パトリックの妹だ。身元はしっかりしているし、問題ない」 「ありがとうございます」 城仕えをしているパトリックのことは同じ寄宿学校の同級生と比べて特に優秀だと思っていたが、それを周囲…

  • 氷の王子は花の微笑みに弱い 序章01

    博愛という言葉を、毎日のように聞かされていた。 澄みきった広大な湖のすぐそばで城は湖面にその姿を映し、威風堂々とそびえ立つ。湖上の城というのがこのクーデルライト城の通称だ。 城は四棟から成る。総じて優美だが、城の顔とも言うべき中央棟は特に、外壁や屋根に金銀の細かな装飾が施された絢爛豪華な造りである。 クーデルライト国の第一王太子、サディアスはその華やかな中央棟で暮らしていた。彼は今…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 終章03

    「腰を浮かせて……」 腰骨のあたりをつかまれ、そうするよううながされる。 すっかり体をとろかされているカタリーナはルイスの言いなりだ。 執務机の上に両手をついて、なんとかしてお尻を持ち上げる。そのあとは、ルイスがうまく突き上げてくれる。 「んぁっ、あぁ……ッ!」 大きな肉茎がみちみちと体のなかに押し入ってくる。濡襞をこすりながら奥へ奥へと進み、カタリーナの体内を我が物顔で蹂躙し…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 終章02

    ルイスはカタリーナの耳もとでやけに大きく息を吐いた。熱い吐息が耳朶をくすぐり、それだけで「ひゃっ」と嬌声が漏れ出る。 「じゃあ、ちゃんとさわってあげる……」 彼の無骨な両手の指が胸の尖りを突き上げる。 「んぁっ」 「これで、どのデザインがいいか決められるでしょ?」 硬い乳頭を、雄々しい指の先で下から揺さぶられる。 「ぁ、んっ……ん、んふっ……!」 こんなふうに胸の先をいじら…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 終章01

    「カタリーナ、休憩にしようか」 その呼びかけにカタリーナはギクリとして、手に持っていた紙束を机の上に何枚か落としてしまう。 バラバラと落としてしまった紙を拾い集めて整えたあと、 「ではメイドを呼んでお茶にしましょう」 「いや、茶はあとでいい」 「………」 カタリーナは無言で、執務机の向こう側に座るルイスを見やる。 彼はニヤニヤとした面持ちでポン、ポンと自身の膝の上を叩いている。…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章12

    彼の声音に、ゾクッと背すじが震えた。寒いだとか、嫌な予感だというのとはまったくべつの震えが走る。 ルイスはカタリーナのなかからそっと指を引き抜き、代わりに自身の大きなそれをあてがった。 「痛む、かも……しれない。カタリーナ、いい……?」 痛むと聞いて不安げな顔になったカタリーナをなだめるようにルイスは彼女の体を撫でさすった。 ルイスはそれ以上なにも言わなかった。無理強いせず、カタリ…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章11

    カタリーナは悩んだ挙句、小さく首を横に振った。 しかしルイスはそれには気がつかず、先ほどの言葉を実行に移す。 肉粒をこする彼の指の動きが強さと速さを増す。 「ひぁっ、ああぁっ!」 枕を持つ両手に自然と力がこもる。先ほどから手足の先がひっきりなしにビリビリと甘くしびれている。 素早い指の動きはそのままに、胸の先端をギュッといささか強くつままれると、快感が最高潮に達した。 「ふぁっ…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章10

    「ぁ、おにいさま……っ」 ルイスの碧い瞳が細くなる。口もとはわずかに弧を描いていた。 「違うだろう? 僕が本当にきみの『おににさま』なら、こんなことしない」 意地の悪い笑みを浮かべてルイスはカタリーナの乳頭を指先でくすぐる。 「……は、ぁぅっ」 指で弾かれた薄桃色を核にして快楽のさざ波がジワリと全身に広がっていく。 (そうだった……。名前を呼ぶって、決めたのに) とっさ…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章09

    ナイトドレスは背中のリボンをほどいて肩からずらせばあとは足先までいっきに脱げてしまう作りになっていた。 ルイスはそれを知ってか知らずか、簡単に脱がせられるものだからドレスを拭い去ってしまった。 残ったのは、先ほど彼につけてもらった銀色のクマだけ。 裸なのに、ネックレスだけをしているのが妙に恥ずかしくなってカタリーナは両腕で胸を隠す。 「見せて、カタリーナ」 甘い声音で彼が命令して…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章08

    「昼間、渡し忘れていたものがあったんだ」 そう言いながらルイスはベッド脇の引き出しから縦長の箱を取り出した。 「王都へ行く途中で見つけて……その、きみによく似合いそうだなと思って」 ルイスはカタリーナを鏡の前の丸椅子に座らせて、自身はそのうしろに立った。 銀色の小さなクマが宝石を抱えたモチーフのネックレスをカタリーナの首に飾る。 「わぁっ、かわいい! ありがとうございます」 「…

  • 青年侯爵は今日も義妹をかわいがる 第五章07

    ルイスの執務室から自室へと戻るなりカタリーナはメイドたちに取り囲まれた。 「い、いかがでしたかっ?」 カタリーナはメイドたちにうながされるままソファに腰かけたあと、一部始終を——くちづけられたことは割愛して——話した。 「おめでとうございます! おふたりの想いが通じ合うこの日を、それはもうまだかまだかと首を長くしてお待ちしておりました!」 老年のメイド頭がそう言うと、ほかのメイド…

  • 双鬼と紅の戯曲 終章03【完】

    奥まったところをズン、ズンッと何度もつつかれる。 「ひぁ、あっ……! ん、はぅっ」 脳天にまで響く勢いで突かれているが、前へ倒れてしまわないのは乳房ごと体をつかまれ支えられているからだ。 極夜の大きな手のひらが乳房を下から持ち上げるようにしてたぷたぷと揺らし、腰を打ちつけてくる。 円を描いて内側をかきまわされる。ぐちゅ、ぬちゅっとひときわ大きな水音が立った。 「は、ん……っ、だ…

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