Rewrite 雨粒の先

Rewrite 雨粒の先

【Rewrite:雨粒の先】孝治が彼女を初めて見たのは、雨が降りしきる夜だった。「うわ、これは確実に濡れるな」思わずそう零すほど、雨が降っていた。どうやら、明日台風が東京近辺に最接近するらしい。嵩張るのも面倒だったが、濡れるのもごめんだと鞄にいれておいた折り畳み傘が役に立った。少々小ぶりの傘だが、差さないよりはましだろう。考治は濃紺の傘を取り出しながら、タクシーでも拾う経済的余裕があればいいのに、と考え...