ひとりよがりの恋と中原中也の『湖上』

ひとりよがりの恋と中原中也の『湖上』

たまに、思い出のラブソングについて書いてらっしゃるブログを見かけることがある。読んでみると、甘美だったり、妖艶だったり、せつなかったり、痛みを感じたりで、その世界に引きずりこまれてしまう。でもね、僕、ラブソングに関して、ほとんど思い出がない。僕が十代のころは、アイドルやポップスターの全盛期で、身近にラブソングが溢れていたし、自然に耳に入って来た。だから、曲は知っているし、中には口ずさめるものもある。けど、どのラブソングの世界も、僕の心を撃ち抜かなかったし、素直に共感することもできなかったんだよね。すべての言葉が虚飾に輝いてるような気がして、すごく居心地が悪かった。まぁ当時の僕は、暴力がチロチロとくすぶる、退廃的で破滅的なPUNKな世界にどっぷりと浸かっていたから、世界があまりにも違ったのかもしれないけどね...ひとりよがりの恋と中原中也の『湖上』