花里
花 里 東の空が未だ濃い藍色を残す朝まだき。はるかに見える山々の際が白々とかすみはじめるまでには、いま少しの間があった。廓(くるわ)は夜の賑わいが嘘のように、今はしっとりとした静寂に包まれている。 ふと、かすかな衣擦れの音を感じ、花里は深い眠りの底からそろりそろりと目覚めはじめた。 激しい閨事に疲れ果てた昨晩、そのまま崩れるように寝入ってしまった花里は、朧朧とする頭を軽く振って重い上体を起こした。...
2013/06/12 14:53
2013年6月 (1件〜100件)
「ブログリーダー」を活用して、聖 さくまさんをフォローしませんか?