終焉
誰もいない部屋で、私はため息を一つつき、立ち上がった。すべて終わった。今日、私は15年間余り暮らしたこの家を、出て行く。すでに荷物はまとめてあった。小さなカバン一つにすべてを詰め込んで、私は静かにドアを出た。振り返れば、15年余り暮らした家が、私を見送っている。さようなら。小声で誰にともなくつぶやいた声が、ふわりと風に乗って消えた。悲しいことなど何もない。これでいいのだ。細い道を歩きながら、...
2020/05/10 05:58
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