蝉 / 三浦和人

蝉 / 三浦和人

蝉浴衣の襟元 そっとなおして紅い鼻緒に 目をやれば耳鳴りのような 蝉の鳴き声時を惜しむように 夜に鳴いてる誰にも内緒で 貴方に逢いに行く少し汗ばんだ肌は夏の暑さのせいなんかじゃない私はまるで 夜に鳴く蝉わずかな時にしか 生きられぬ恋私はまるで 夜に鳴く蝉