新宿の母
生涯で二度、占い師に手相を見てもらったことがある。友達に誘われて新宿の母栗原すみ子さんの元へ。まだ、若干20歳の頃だ。当時大人気だった栗原さんの占いは、若い男女が列を作っていた。何故路上でやっているのかという点については単に人気が出過ぎたからだろうと思っていた。とにかく並んで30分以上は待っただろうか。異常なスピードで列がはけていく。とんでもないスピードだ。だって占いって、ゆっくり座って話を聞いてくれるもんなんではないの?自分の番がやってきた。目的もなく来ちゃった自分に栗原さんはこう言った。「はい、両手出して、今日は何を聞きたいの?」当時私は絶望のどん底にいた。好きだった人に勇気を出して告白して振られたばかりだった。まだ、本当の恋愛を知らず、自分なんて…というコンプレックスの塊だった。「今好きな人がいるけどあき...新宿の母
2019/12/25 07:53