『李白詩選』 最終 修正
松浦友久編訳。 岩波文庫。 現代語訳が晩年の田村隆一の詩のように感じた。 五言古詩「廬山の瀑布を望む」が李白の真骨頂では。 結句の「永く願う 人間を辞するを」には、 それまでの言葉の華やかさとエネルギーが相俟って、 単純な厭世ではなくもっと包括的(ポジティブ)な、 俗世間(人間)に生きる李白の飄々とした力強さがある。 諧謔あるいは逆説と言ってもいいような気がする。 「夢に天姥山に遊ぶの吟 留別」にもまた、 結句に「我をして心顔を開くを得ざらしめんや」とある。 俯瞰あるいは宇宙的なものの見方が素敵。 そういう意味で「月下独酌 其の一」などの酒の詩も、 極めて現代的だと思った。
2023/08/12 22:50