ほとんど政府の無い世界

ほとんど政府の無い世界

「ヨコハマ買い出し紀行」は、作中の人々の生活のあり方という面でも、深く練られた独特の意趣が散りばめられていて味わいが深い。たとえば情報通信という点では、ネットやコンピューターどころか電話も消えてしまって、郵便だけがかろうじてほそぼそと生き残っているところなどがそうで、作者の心境を察するに、おそらく世界の滅びにあわせて、自分の好かないものには全部いっしょに退場してもらったようにも見受けられる。同じ…