「遊民の思想」(森秀人・虎見書房・1968年)・《2》「梅澤武生劇団」
2008年4月6日(日)晴「遊民の思想」(森秀人・虎見書房・1968年)の「Ⅱ芸人・大衆芸術論」の中に「考えるところあって、十二月に旅役者の一行とともに田舎を歩いた。梅沢武生一座という。座長は二十四歳。野球選手になりたかったのに親の後を受けて役者になった。生活のためである。妹の正子は二十歳。ふつうの娘のような生活を望んでいるが、彼女も結局舞台に立った。総勢十七名。なんとも陽気な一座である」という書き出しで始まる一節がある。その内容を要約すると、①座長以下全員、舞台づくり移動など工場労働者以上の労働に密着している。②若い現代の旅役者たちは、義理人情の思想に乏しいから、自分たちの芸をあまり信じない。ところが、いったんかれらが舞台に立つと、観客が涙を流して泣き笑う。粗末な小屋で、だから演じるのはむしろ観客なのだ。観客...「遊民の思想」(森秀人・虎見書房・1968年)・《2》「梅澤武生劇団」
2011/04/06 00:00