記憶 写真と言葉

記憶 写真と言葉

言葉をもたない柏の木は言った。芽生えた人の息吹はやがて大地に根を張り土を噛み砕き川を犯し太陽を奪った。まるで顕微鏡を覗き込んでいるかのような感覚に捕られ森が姿を失った時期、巨体なコンクリートはその体に静かにアサリナのツタをはわせ、宙に浮く窓は形を取り戻し