本日も読書日和

村上春樹『中国行きのスロウ・ボート』

村上春樹自身も冒頭で述べていますが、著者初の短編集です。 八月の半ば、僕の背中に貼り付く貧乏な叔母さんの存在に気付いた。 僕のまわりから一人また一人と友人が去っていく……（「貧乏な叔母さんの話」）。 私は「貧乏な叔母さんの話」「土の中の彼女の小さな犬」が面白いと思いました。 他の短編も個性があって玩具箱のような趣きです。 by Seesaaショッピング中国行きのスロウ・ボート (中公文庫)￥

2008/02/17 22:17

三雲岳斗『旧宮殿にて 15世紀末、ミラノ、レオナルドの愉悦』

万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチが、ミラノ宰相ルドヴィコ・スフォルツァと、才媛チェチリアとともに不可解な事件の謎に挑む連作ミステリィです。 解説で円堂都司昭は、「（前略）三雲は、ポーの血を引く作家なのだ」と言及していますが、確かに作中のレオナルドは「発明は空想から始まり、真の想像には分析力がともなう」（「モルグ街の殺人」）を地で行っているなあと感じました。 五つの短編は、どれも面白いのです。謎の解明も然る事乍ら、登場人物は魅力的ですし、ストーリーもドラマティックです。 私は、特に「ウェヌスの憂鬱」が秀逸だと思いました。 by Seesaaショッピング旧宮殿にて 15世紀末..

2008/02/12 23:25

夢枕獏『陰陽師 瘤取り晴明』

薬草を採りに山へ入った平大成は道に迷い、鬼達の百鬼遊宴に遭遇してしまう。気鬱に効く紅瓜茸を食べた大成の踊りに鬼達は大喜びし、もう一度見るために質として右頬の瘤を取る。双子の弟である中成は左頬の瘤を取ってもらおうと大成のフリをして山へ向かうが……。 多くの挿絵と相俟って、御伽噺のような趣きです。 by Seesaaショッピング陰陽師瘤取り晴明 (文春文庫 ゆ 2-16)￥

2008/02/11 23:08

ポー『黒猫／モルグ街の殺人』

ポーの代表作「黒猫」「モルグ街の殺人」を含む計8編を収録した短編集です。 「黒猫」はジリジリとした不安が付き纏う佳作です 「モルグ街の殺人」では、名探偵のデュパンが登場します。 私は、「早すぎた埋葬」が一番面白いと思いました。 by Seesaaショッピング黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)￥

2008/02/09 23:00

カフカ『変身／掟の前で 他2編』

ある朝、グレーゴル・ザムザは自分が大きな虫になっていることに気付きます……。虫になってしまった主人公の視点から、家族の姿が生々しく描かれていきます。「変身」 『カラマーゾフの兄弟』で一躍有名になった光文社古典新訳文庫の一冊です。 収録された4編の中で、私は「判決」が一番好きでした。 カフカが一夜で書いたことからも分かるように、勢いがあります。 畳み掛けるような狂気が、とてもスリリングです。 by Seesaaショッピング変身,掟の前で 他2編 (光文社古典新訳文庫 ..￥

2008/02/08 23:00

村上春樹『夜のくもざる』

36本の短編（と、おまけ「朝からラーメンの歌」）からなる小説集です。 すべて2、3ページと短いのですが、どれも深い印象を受けます。 洋服や万年筆の広告のために書かれた小説だそうですが、著者自身もあとがきで言っているように、商品にはまるで関係ありません。 でも、リラックスして書かれているのがヒシヒシと伝わってきます。 中でも、「うなぎ」はお気に入りのお話です。 by Seesaaショッピング夜のくもざる—村上朝日堂短篇小説 (新潮文..￥

2008/02/07 23:00

田中芳樹『創竜伝4 四兄弟脱出行』

連れ去られた長兄の始を助けるため、残りの兄弟は愉快な仲間達とともに暴れます。一番愉快なのは、兄弟ですが。 今回はドラゴンの大盤振る舞いです。そして海を越えます。 竜堂兄弟による日本やアメリカの被害額は相当なものでしょう。 竜から人間に戻ると裸なのが、地味に面白いですね。 by Seesaaショッピング創竜伝IV 四兄弟脱出行￥

2008/02/06 23:00

奈須きのこ『空の境界（下）』

礼園女学院高等部一年四組の教室で、ふたりの生徒が口論の末に相手をカッターで切りつけた。口論のキッカケは、本人が忘れていて思い出しもしない子供の頃の秘密を、相手にばらされたことだという。 しかし、真犯人は妖精らしい。妖精が記憶を採集しているのだとか。 蒼崎橙子の命で、両儀式と黒桐鮮花は調査に乗り出すが……。（忘却録音） 三分冊の文庫版が遂に完結してしまいましたね。 「忘却録音」では、黒桐鮮花が沢山出てきます。不器用で可愛いです。 下巻では、「忘却録音」の他に「境界式」「殺人考察（後）」「空の境界」が収録されています。 両儀式と黒桐幹也がどうなるか、是非読んで確かめて欲しい..

2008/02/04 23:10

森博嗣『タカイ×タカイ』

有名マジシャンの自宅敷地内で、高いポールの上に掲げられた死体が発見されます。死体を、どうやって上げたのか、なぜ上げたのか……。 Xシリーズの第三弾です。 今回も真鍋瞬市の推理がマッタリと冴えます。 たった一つの殺人事件なのに、多様に語られます。 事実とは、曖昧なものなのかもしれませんね。 観測者の数だけ事実が存在するのかもしれません。 by Seesaaショッピングタカイ×タカイ (講談社ノベルス モF- 41)￥

2008/01/27 22:14

本田直之『レバレッジ勉強法』

ガムシャラにやるのではなく、機械的に勉強していく方法が紹介されています。 考え方の根幹は、『レバレッジ・リーディング』と同じです。 読んでいくと、勉強が続けていけそうな気がしてきます。 by Seesaaショッピングレバレッジ勉強法￥

2008/01/20 20:55

辻村深月『名前探しの放課後 下』

突然、三ヶ月前に戻ってしまった“いつか”は、近い未来に同級生が自殺することを知っています。その自殺を止めようとするのですが……。 同級生の自殺を止めようと躍起になることで、“いつか”や“あすな”は再生していきます。とても青臭いのに、心地良いお話です。 青春小説としての要素とミステリィとしての要素のバランスが絶妙です。 もう一度読みたいですね。 by Seesaaショッピング名前探しの放課後(下)￥

2008/01/19 20:09

辻村深月『名前探しの放課後 上』

著者名の「辻」のしんにょうは、正確には点が二つです。 今回、幸運にもサイン本を購入することが出来ました。 「月」の字が下に伸びていて可愛いサインです。 by Seesaaショッピング名前探しの放課後(上)￥

2008/01/14 21:16

筒井康隆『エロチック街道』

とても実験的な小説集です。 早口ことばが列挙されていたり、歩き方が事細かに描写されていたり、麻雀中の会話だけが延々と綴られていたりするのですが、話は途中で不条理に捩じくれていきます。 誰にも真似出来ない独特で上質な短編ばかりです。 私は、「遠い座敷」や表題作「エロチック街道」が特に好きでした。 異世界に引き込まれていくような眩暈を覚える作品です。 なお、「ジャズ大名」は1986年に映画化されました。 by Seesaaショッピングジャズ大名￥

2008/01/13 22:47

村上春樹『カンガルー日和』

18篇のお話が収められた小説集です。 「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」は、かつて映画化されました。 映画版のタイトルは「100％の女の子」です。 原作通りだと長過ぎますものね。 小説はタイトルに反して、10ページ程度の短いお話です。 でも、凄くロマンティックです。 どれも個性的な作品ですが、「1963／1982年のイパネマ娘」が特に興味深かったです。 by Seesaaショッピングカンガルー日和 (講談社文庫)￥

2008/01/05 23:33

D・カーネギー『人を動かす』

文字通り人を動かす方法を説いた啓蒙書です。 原書は、1936年に初版が発行されました。 改訂されたとはいえ、70年以上経った今でも色褪せることなく大変参考になるのですから、感嘆を禁じえません。 必読の名著ですね。 人を動かすには、まず私自身が誠実でなければならないのだと感じました。 by Seesaaショッピング人を動かす 新装版￥

2008/01/03 23:19