紙片

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そうだね、夜は綺麗だね。 彼方の鉄塔の光が、 ゆっくり、ゆっくりと遠ざかっていく。 車窓へ向けられたま...

2010/12/21 22:21

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朝が来て 君が歩く 言葉が霧散する どんな場所も恐れずに 光の中にいなさい 君はいつも正しい 夜が来...

2010/06/01 22:47

幸せな人間

あの人は思うより誠実でも 日常の言葉に乗せる術は 思い付かない 薄情のひとつ ...

2009/04/08 00:33

砂

さらさらと 砂の流れる音 心を逸らすというのでもなく ただ砂の音が気になって かえって...

2009/01/09 18:12

浅い夜

昔、私が殺して海に棄てた 女 が、 今も南の海上で月を眺めている 暗闇で一瞬光...

2009/01/07 14:16

2008/12/16

助けはいらない 誰の言葉も届かない 誰の悲しみもいらない 誰の喜びもいらない 深く深く 地上に穿...

2009/01/07 14:16

キヨミ（9）

私は箱を積んだ。 私達のいた木陰の隣に。 毎日、私は仕事が終わるなり箱を積んで、 そこへと運んだ。 下段は...

2008/08/29 19:47

キヨミ（8）

箱の一段目を積む私を、キヨミは不思議そうに見ていた。 「花火がよく見えるようになるから」 と言った言葉は言い訳だっ...

2008/08/19 22:38

キヨミ（7）

あれほど畏れていた夏が、いつの間にか来ている。 いつの間にかこの空気に、 馴染んでいる自分の身体の方が異物だ。 夏を畏れ...

2008/08/19 22:37

キヨミ（6）

キヨミは私が箱を盗むことを知らない。 キヨミが指を差す。 「あの山の向こうから、花火が上がる」 ...

2008/08/16 19:15

キヨミ（5）

私は箱を盗む。 私が手を滑らせてもいいように、 箱の中には300個に1個の割合で余剰が含まれており、 私はそれを盗む。 ...

2008/08/14 17:38

キヨミ（4）

キヨミの指が私を裏返す。 私は私の内側に入り込み、 キヨミのことを見ている。 私は私の入口につけた耳で、 キヨミの声を...

2008/08/12 21:47

キヨミ（3）

私は箱を運ぶ仕事をする。 箱は正確に40cm×40cmの正方体をしていて、 中身と色は様々だ。 私はそれを表示に従い、部...

2008/08/04 23:14

キヨミ（2）

キヨミは船に乗ってやってくる。 小さな船の舳先に座り、 前方を眺めるキヨミは黒い服を着ていて、 少し肩が強く見える。 ...

2008/07/26 17:31

キヨミ

神様が来ないのは今に始まったことではないが、 それにしても暑い。 体内の血液が沸騰し、 一ヶ所開いた穴から、ぴゅうと残らず吹き出...

2008/07/26 02:40