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入院譚に入る前に、A病院外来で見た印象深い患者さんについて。 そのご婦人は、待合室に配偶者と思しき男性と座っていた。 酷くイライラしている様子が傍からも伝わって来た。夫らしき人は あれこれと世話をしようと気を使っているのだが、彼女は忌々し気に手を 払いのけ、舌打ちをしていた。 名前が呼ばれたようで、連れだって診察室に入っていた。五藤先生の 診察室だった。 ほどなくして診察室からどなり声が聞こえた。女性患者によるものだ。 「あんたね!私医者なんか信用してないんだからね!本当に馬鹿なんだから。 あんたたち最低よ!!」どうも五藤先生に向かって怒りまくっているのである。 様子をうかがうに、この女性患者…
誰にでも話しかける患者さんは他科でも見かけたことがあるので、 今回の事例は精神科に特有なことではないかもしれない。 前項で書いたように、受診サイクルが一緒になると同じ患者さんと 待合室で居合わせる事が出てくる。 その人はおじいさんと言っていい年頃の人で、いつもくしゃくしゃの 帽子をかぶった痩せた人だった。 そのおじいさんは待っている女性(必ず女性。なのでナンパと書いた) にランダムに話しかける。でも話しかけるといっても、全く一方的な、おじいさん自身の個人的な内容を支離滅裂に、身振り手振り交えて甲高い声でまくしたてるだけなのである。近所の様子、日々の不満、自分の信条、自分の過去、そう言った内容で…